第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
保冷剤置いてある場所思ったより遠かった…。あとは冷タオル…水道で濡らして保冷剤くるめばいっか。
「」
私を呼ぶ聞きなれた声。
『こ…菅原さん?』
「今2人きりだし名前呼んでくれよ」
『…孝ちゃんどうしたの?』
「なかなか戻ってこないし迷子かもだから探して来いって烏養コーチが。」
『あ…研磨くんが苦しそうな表情してたから…冷タオル持っていってあげようと思って。ついでに保冷剤も取りに。心配かけてごめんね、すぐ戻るよ。』
「研磨って音駒のセッター?」
『うん、東京でお世話になった先輩だよ。
あとは主将の黒尾さんが私の知り合…っ』
「まだ?」
『っ黒尾さん?試合中ですよね?』
背中に感じる重み。
後ろからふわっと抱きついてきた黒尾さん。
「んー…指切れたんで介抱されに来ました」
『え、大丈夫ですか!
1回ここで洗ってください!』
私の背中に抱きついたままの黒尾さんの腕を掴んで蛇口を捻る。のしっと私の肩に顔を乗せてスリスリとしてくるけどそんなのお構い無しに傷口を洗い流す。
「おい黒尾離れろよ…は…っ」
孝ちゃんは私が男の人に触れられると怖がるから黒尾さんに離れるよう言いたいんだ。だけどそれを言っていいか分からず困った顔をしている。
「がなに?
男に触れられたら怖がるって言いたい?」
「!え…と、」
「俺のこと怖い?」
後ろから伸びてきた手が
私の頬を包んで後ろに振り向かせる。
「おい黒尾…っ」
「」
『怖くないですよ』
「ふは、よかったです」
私の言葉を聞いてフワッと笑う黒尾さん。そして真正面から抱きしめて頭を撫でてくれた。
「…?」
あれ…孝ちゃんの顔が…悲しそうだ。
どうしよう。また…また傷つけた。
「あのこと2番君に言ってないの?」
『いえ、孝ちゃんには話しました。』
「そ、じゃあ俺とが毎日一緒に寝てたことも知ってるわけだ?」
「え…」
「あー…そこまでは話してなかった?」
『それは…特に話すことじゃ…』
「…俺…戻る…ね」
『孝ちゃっ…』
追いかけようとする私を抱きしめたまま
黒尾さんは離そうとしてくれなかった。
「今は音駒のマネでしょ?
行かないでよ…俺といて?」