第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「よし、休憩!!」
烏養コーチの声で全員がスクイズを取りに来る。
「あれ…僕のこれだっけ。」
『あ、月島くんのこっち!
ごめんね、あとで分かりやすくしておく』
「あ、いや…ありがとう。」
『あ、西谷さんのこっちです!
それ田中さんのですよー!!』
「お!さんきゅー!!」
この合宿が終わったら名前分かりやすく書いておかないとなあ。どうせ消えちゃうし文字の上からテープとか貼ろうかなあ…。
「ー」
『はいっ!』
背中にかかった声に反射的に返事をして
「ちょっとこっち来いよ!」
振り返ると黒尾さんが手を広げていた
『すみません、音駒の方行ってきます』
大地さんに断りを入れて
黒尾さんの方へと向かう。
「おいおい、お嬢さん
走って抱きついてきて欲しかったんですけど?」
『なっ!そんなことできないですよ!』
「中学生のちゃんはしてくれたのにな〜」
『も、もう高校生です!!』
中学生の頃、私より2年も早く卒業してしまった黒尾さんは、高校生になっても中学までお迎えに来てくれたことが何度もあった。そのたびに会えることが嬉しくて校門まで走っては抱きついていた。その事を言ってるんだろうなあ…。
「久しぶりに会えたのにな〜?」
『…っわかりましたよ。やりますよ…。』
パァっと顔を輝かせた黒尾さんが私から少し離れてもう一度腕を広げる。だから私はその大きな体目掛けて小走りで勢いよく抱きついてみせた。
「よし、捕まえた!」
『ちょ…っと黒尾さん!研磨くん助けて!』
ひょい、と持ち上げられた私は腰掛けた黒尾さんの太ももの上で横抱きにされた。恥ずかしい…みんな見てる…。
「クロ!から離れてよ!」
『うぅ〜研磨くんーっ』
「よしよし、クロ怖いね。嫌いだよね。」
よしよしとわたしの頭を撫でる研磨くん。
もう…この光景なに…っ?
『…皆さんの視線が…痛いです…っ。』
皆説明しろって顔に書いてあります…。
「あー…俺と研磨の中学んときの後輩。もともとコッチ(宮城)だから高校はこっち帰ってきたんだと。」
「ふーん、じゃあさ
この子が例の黒尾がずっと狙ってる子?」
「やっくん黙れ」
「あ?なんだよまだ告ってねえの!ダッセェなあ!」
黒尾さんがずっと狙ってる…?私を…?