第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
迎えた合宿最終日
音駒高校との練習試合
皆いつもより目がギラギラしている。
昨日の練習もより熱が入っていたように思う。
烏野総合運動公園屋内球技場
私たちの到着と同時、見えた真っ赤なジャージ。
「研磨ー!!!!音駒だったの!?
なんで教えてくんなかったんだよぉ!!」
「…だって、聞かれてない…」
走り出した日向くんが真っ先に向かった先は
まさかの研磨くんのもと。
いつのまに…?
かとおもえば赤ジャージのモヒカンさんと
田中さんがなにやら睨み合いはじめた。
似たもの同士…?
音駒の小さめの人と孝ちゃんが止めに入ってなんとか収まったかな…。よかった。
「ちゃん行こう。
ドリンク作らないと。」
『あ、はいっ』
モヒカンさんとすれ違う時に目が合って
潔子さんと2人でペコリと会釈をする
「じょ…じょしマ…ネー…ジャー…っ
お、覚えてろよぉぉおおおっ」
潔子さんを見るなり走り去って行ってしまった
…潔子さんの美しさに驚いたのかな
「清水ー!烏養さんが呼んでる!」
「わかった、今行く!
ごめんねちゃんドリンクお願い!」
『はい!おまかせください!』
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『えっとこれが…月島くんので…
こっちが縁下さんで…こっちは木下さん。
これは…大地さんの。これは影山くんので…』
それぞれ好みの濃さがあるから間違えないように…
「?」
『ひゃいっ』
集中していたせいで背後からかかった声に
思ったより驚いて変な声が出てしまった。
振り返ると真っ赤なジャージに
見覚えのあるトサカヘア。
『…っ黒尾さん!!』
「はは、ほんとにだ」
『まだ2ヶ月も経ってないのに
すごい久しぶり感ありますね』
「そうだなー、寂しかったろ?」
『はい寂しかったです…っ』
「素直でよろしい。」
『黒尾さんは?』
「そりゃ寂しかったですよ」
『えへへ』
変わらない調子に東京にいた頃を思い出して胸がジーンとなる。この人がいなかったらきっと私は壊れてた。
「それ全部1人で運ぶのか?」
『先輩がコーチに呼ばれちゃったので1人です』
「一緒に持ってやるよ」
『え?…っひゃあ!』
ドリンクを持った私ごと ひょい、抱き上げられ
そのまま体育館へと連れていかれた。