第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
が出ていって静まり帰った部屋。
「スガ…大丈夫か?」
「どうしよう…怖がらせた。」
心配そうな大地の声。
あんな顔されるのは正直苦しい。
「ごめん俺ちょっと出るね」
立ち上がった旭がの後を追うように部屋を出ていった。なんで旭が気にかけるんだ?なんで…なんで追いかけられるんだよ。
「スガは行かなくていいのか」
「俺は…」
「先生にバレたら俺がなんとか誤魔化すから。
行きたいなら行けよ。」
「ありがとう大地、行ってくる。」
旭が出ていってから割とすぐ俺も部屋を出た。
どこにいるのかなんて分かんない。
もしかしたら部屋戻ってるかもだし。
でも泣いてたから…あ、外か。
は泣く時ベランダにいることが多かった。夜風を浴びるとクールダウンできて落ち着く気がするって前に言ってた。
そう言えば外にベンチ置いてあったな。
あそこか。
急いで外に出ると大きな影に隠れる小さな体を見つけた。
「泣き顔見られたくないかな…って。
その、怖かったらすぐ離れるから言って!?」
聞こえてくる旭の声。
いつも通りのへなちょこ発言なのに泣いてる女の子抱きしめるなんてどこで覚えたんだよ。相手がだからなのか?
『ふふ、怖くないです。ありがとうございます。』
さっきまで泣いて怯えてたはずのが
旭の腕の中で笑ってる。俺じゃ…ダメなのか?
「あれ…笑ってる?涙は??」
『さっきまで泣いてましたけど。
旭さんの慌てようが面白くて引っ込みました!』
「ん、んーそれならいっか…?」
『また旭さんに助けられちゃいました…』
また?またってなんだ…?
俺の知らないところで2人の距離はそんなに縮まってたんだな。は誰にでも優しくて明るくて…だけど心を開いて許してる男は俺だけなんじゃないかって自惚れてたんだ。
もう…部屋戻ろう。ここに居ても苦しいだけだ。
歩き出した俺を
『っ孝ちゃん!』
呼び止める声。
「…っあ、ごめん盗み見するつもりじゃ…」
『孝ちゃん』
「あ、じゃあ俺戻るね…?」
『旭さんありがとうございました』
「ううん、じゃあまた明日ね」
『はい、おやすみなさい』
少し気まずそうな旭が部屋に戻ってしまい
と2人沈黙が流れる。