第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「あ、ちゃん…消灯すぎてるよ。
部屋戻らなくて大丈夫か?」
旭の声に全員が時計を見る
『っは!ホントだ…っ
ごめんなさい皆さん疲れてるのに…!』
「いや、気がつけなくて悪かった。そろそろ武田先生が見回り来ると思うし部屋まで送るよ」
を部屋まで送ると言った大地が扉を開けてすぐに閉じ、スタスタと戻ってきた。
『だい…ちさん?』
「やばい武田先生きた…
か、かくれるか!?」
大地焦ってんなあ笑
隠れるってなんだよ、と笑いをこらえつつ
真面目な顔で返事をしたの腕を引いた
『は、はい…っ』
コンコン 「みなさーん、寝てますかー?」
『ひいっ!!』
「こっち!」
隠れるつっても布団の中くらいしかないし
が俺以外の誰かと布団の中とか…嫌だろ。
2人入ってるって気づかれないように
小さな体をグッと引き寄せてくっついた。
小さく震える体にもっとはやく気づいてやるべきだった。俺はにとって特別だと勘違いしていた。
「寝ていますね、今日はお疲れ様です。
皆さんおやすみなさい。」
「…行ったか?」
先生が遠ざかって少ししてから西谷の声でみんなが布団から出てくる。布団を捲ると小さく蹲って震えるが視界に入る。
パキって心にヒビが入る音がした
「…っ?」
恐る恐る名前を呼ぶと
『こ…うちゃん…っ?』
青い顔で振り返る。
きっと俺だって分かってなかったんだ。
だからこんなに震えてるんだ。
…そう思わなきゃやってらんない。
「…ほんとにどうした…っ?
俺だよ、孝ちゃんだよ…っ」
伸ばした俺の手が届く前に
『ごめ…なさい孝ちゃ…んっ』
今にも泣き出しそうな顔しながら
それだけ言って部屋を飛び出していってしまった。