第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
『菅原さんドリンクどーぞ!』
「ありがとう!
合宿はマネ大変だと思うけど大丈夫か?」
『潔子さんに迷惑かけてばっかりですけど…
でも…私もみんなと頑張りたいから!』
「ん、そっか。頑張ろうな!
えと…頭撫でても大丈夫?」
孝ちゃんは私に触れる前に聞くようになった
きっと前に突き返してしまったから。
『ふふ…うんっ。撫でてください』
怖がらせないように壊さないようにって
大切にしてくれる孝ちゃんの優しさが温かい。
優しい手が私の頭を何度も撫でる。
「よーしよーし。合宿がんばろーなー!」
「あの、お取り込み中わるいんだけど
僕のドリンクどれかな…?
ごめん分かんなくなっちゃって。」
『あ、月島くん!待ってね…えとコレ!
はいどーぞ!気づかなくてごめんね!』
スクイズに書かれた名前がだいぶ薄くなってきてる。
私たちマネージャーは作る時に選手ひとりひとりの好みで中身を変えているから同じ柄のスクイズでもどれが誰のか何となくわかるけど…あとで書き直さないとかな。
「ありがとう。」
『いえいえっ』
今日も爽やかクールな月島くんはスクイズを受け取ると山口くんの元へと歩いていってしまった。あんまり話したことないからこの合宿を機に仲良くなれたらいいな。なんて密かな目標を立てる。
「あ、ねえ!
俺のってコレかな?」
またもやスクイズでお悩みの方が…!
『それは大地さんのなので…
縁下さんのはえっと…こっちです!』
「そっか、俺のこっちか…ありがとう!」
「ー!!!!!」
「こら西谷、おっきい声出すな!
がビックリするだろ!」
「んだよチカラー!
に優し…っは!!!
さてはチカラも狙いか!!?」
「を困らせるようなこと言うな!」
いつも通り騒がしい西谷さんは
また縁下さんに引きずられてどこかへ連れていかれた
こんなにハードな練習をしているのに
あの元気はどこからやってくるのだろうか…?