第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「…さっき、ごめんな。」
『ううん、私もいきなり押してごめんね
気にしてないから気にしないで!ね?』
「あ…うん。ありがと」
『あ、ねえ孝ちゃん!
そう言えばゴールデンウィークって合宿ある?』
気をつかってくれたのか素なのか
話題を全く別のものに変えてくれた。
「あー、うんあるよ
最終日は音駒ってとこと練習試合」
『音駒…って東京の?』
「え、ああうん。
東京いたもんな。
知り合いいたりして?」
『うん、友達がいるの。
楽しみだなあ。』
「そっか、そりゃ楽しみだな」
楽しみってことはソイツ合宿にくるんだよな。
男か…きちぃなあ
他愛のない会話をしてるうちに気まずい空気もなくなって、学校にもあっという間に着いた。下駄箱の場所が違うから1年の下駄箱の前で分かれて俺は3年の下駄箱へと向かう。
「スガおはよう」
うしろから声をかけてくれたのは旭。
眠たそうに欠伸をしながら目をこすっている。
「はよ、旭」
「ちゃんと登校してきたの?」
「ああ、俺んち泊まってたんだ」
「あ、そー…なんだ?」
なんだその返事?
「…旭もしかしてさ…」
「おーはよーございます!!
あーさひさーん!スガさーーーん!!」
「お、西谷おはよう
朝から元気だなあ」
俺が聞きたかったことは朝から元気いっぱいな西谷の挨拶によって遮られてしまった。まあいいか。いつでも聞けるしな。
結局何も聞けないまま別々のクラスに入ってく俺たち。あ、弁当。のも持ってきちゃったな。あとで渡しに行くか。そのまま一緒に食べるのもありかな。
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キーンコーンカーンコーン
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チャイムと同時に教室を飛び出した。
「スガ?どこ行くんだ?」
うしろで聞こえた大地の声に止まることなく
『んとこ!』
それだけ叫んで走り続けた。
だって購買とか行かれたら困るじゃん!
確か1組つってたな
1年のフロアに突然現れた3年。
視線が痛いです…。
控えめに後ろのドアをガラッと開けて
『ーっ!』
控えめにって思ったのにの姿を見つけて思わず大きな声が出た。クラス中の視線が俺とに集まる。
「あれ、孝ちゃん?」
パタパタと駆け寄ってくる姿が可愛い。