第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
一緒に寝ると言った俺の言葉を聞いて安心したのか腕を掴む力を弱めて再びふにゃりと笑ってみせてくれた。
『なんか…ベッド狭く感じるね?』
「そりゃそうだべ。
俺もも高校生なんだから。
ピッタリくっついて寝ないとな?」
さすがに分かれて寝ようって言うか?
『ん、そうだねっ
くっついて寝よう孝ちゃん!』
「えっ?」
『え…嫌だ…?』
「ばか、んなわけないだろ」
はあ…もうダメだ…俺今日絶対寝れん。
『ふふ、じゃあ孝ちゃん、ぎゅーっ』
ベッドの中で寝転がったが両手を伸ばしている。腹くくるしかねえ。頑張れ俺の理性!
「よし…寝るか。」
正面から抱き合うようにして寝転がる。
ドクンドクンと早くなる鼓動が聞こえてしまいそうでソワソワする。
『孝ちゃん…心臓ドクドクしてる』
「あ…はい…。」
ばれたああああ!どうしよう恥ずかしい…!
『ん…安心する匂い…好き。
会いたかったよ孝ちゃんっ』
「俺も…俺も会いたかったよ」
が言葉を発する度に胸がぎゅうぎゅう締め付けられて苦しい。コイツの天然発言にいちいち反応してたらキリがないなんて何年も前から分かってたことだろ。なのに期待しちまう俺は相当末期なんだろうな。
を自身の胸におさめて頭をなでてやると、暫くして規則正しい寝息が聞こえてきた。さすがに寝込み襲う趣味はないし俺も寝るか…。
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う…なんか外明る。もう朝…?
寝た気しない…。
『…ちゃん、孝ちゃん!』
「ん…っ」
へ…え??夢?
夢なら少しだけ…。
夢の中のを抱き寄せて首筋に鼻を寄せた。それからパクっと甘噛みをしてみる。
『や…いや!!!』
ドンっと俺を押し返して涙目で怯えたような表情。
え…まって夢じゃないやつだコレ。
昨日…泊まってたんだった。
「ご、ごめん!
その…俺、夢と勘違いして…!」
『あ、私こそ…ごめん孝ちゃん。
早く準備して学校いこう?』
さっきまでの怯えた表情ではなく、俺のよく知る笑顔を向けてはリビングへと降りていった。
それから2人で朝ごはんを食べて、制服に着替えて、母さんの作った弁当を2人分持って家を出た。
少しだけ気まずい空気。
何とかしなきゃ…な。