第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
黒くて綺麗な長い髪。
その髪を揺らしてクルンと振り返った瞬間。
一瞬固まった。
だって夢に出てくるくらい会いたかった人。
俺の初恋の人。今も好き。すげえ好き。
って名前呼んだら
ちょっと考えたあと俺の顔を見て
『孝ちゃん?』
って呼んでくれた。
肩くらいの長さだった髪が胸まで伸びてた。
孝ちゃんって呼ぶのはしかいない
そう呼ぶその声が大好きなんだ
ぼーっと考えていたら
あとから来た西谷がを見るなり天使だって近寄った。天使みたいに可愛いだろって心の中で思いながら離れろーって思ってた。その後ろにいた旭が声をかけて離れた西谷に安心していたのも束の間。
「スガが死ぬほど会いたがってた子?」
って…言うなよバカ旭!
やべって顔をした旭がフォローしようとまた口を開く。思ったより綺麗系だと言い出した。嫌な予感しかしない…もう喋んないでくれと願うも旭は止まらない。
待ち受けで見た事あるって言い出した。
には聞こえてなかったのにそれを聞いてた日向がまさかの拾って聞き返してきた。
観念してスマホを手渡す。
中学の卒業式ん時の写真。
わざわざ東京からサプライズで花束持って会いに来てくれたに涙が止まらなかったのを覚えてる。第2ボタンは好きな子にあげるもんって誰かに聞いたとき、絶対に渡すんだって決めてた。
色んな子に第2ボタンくださいって言われたけど、全部断わってポケットに閉まったんだ。
本当は東京まで会いに行って告白しようと思ってたのに。会いに来てくれるなんて思わねえもん。告白の言葉とか全部吹っ飛んだ。そんで言えないまま今日になった。情けねえって?分かってる。
貰ったボタンをクマのキーホルダーに縫い付けてスクバに付けてるんだ、と見せてくれた。死ぬほど嬉しかった。ああやっばいな。くそ好きだなって思った。そんな大切そうに持ち歩かれたらさ…期待しちゃうよね。男ってバカだからさ。