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それを運命と呼ぶのなら【東リべ夢】〘灰谷蘭夢〙

第2章 兄と弟




逃げる事だって考えたし、実行もしたけれど、いい結果を生んだ事はないし、乱暴に痛くされるのは嫌だから、もうそんな無意味な期待はとっくに捨てた。

目の前にいる灰谷弟、竜胆君に助けを求める事も、もうしない。

動かない私を、竜胆君は「ごめんな」と言いながら、シーツごと抱き上げた。

これもよくある事で、私は大人しくしている。

脱衣場に立たされ、シーツが剥がされる。

竜胆君が私から目を離す事もないし、私も体を隠す事はしない。

私達には、もうこれが当たり前になりつつあった。

蘭さんに抱かれた後、竜胆君がその後処理と、甲斐甲斐しく私の世話をする。

私の事は放って置いてくれたらいいのに、と言っても竜胆君が聞いてくれるなんて事もなくて。

シャワーを体に掛けられる。丁度いい温度に、少し落ち着きを取り戻してホッと息を吐いた。

竜胆君は、いつも服を着たまま私の体に触れる。その手はやっぱり優しい。

私の手を取って、傷ついたみたいな顔をする竜胆君を見上げる。

「しないの?」

「っ……」

私の言葉に竜胆君の頬が赤くなったのは、見間違いじゃないはず。

蘭さんに抱かれ始めて何日かした頃、リビングでの行為中に帰宅した竜胆君に、蘭さんが耳を疑うような言葉を口にした。

「竜胆ってさー、ちゃんの事気に入ってるよな? なら竜胆も混ざる?」

あの時の蘭さんの凶悪な笑顔だけは、忘れる事が出来ずにいる。

けど、竜胆君は最初驚きに目を見開いていたけれど、私に一言だけ「、ごめんっ……」とだけ言った。

そこから、たまに竜胆君も行為に混ざる事が増えた。

そして、こうやって私の世話をする時も、竜胆君の目は熱を帯びていて。

「っ、っ!」

「んっ、ぁあっ……」

蘭さんに抱かれた後、竜胆君にも抱かれる事は少なくないし、蘭さんもそれに気づいている。

だって、竜胆君は私を抱く時必ず、まるで自分の事を刻みつけるみたいに、私の体の至る所に赤い痕を付けるから。

帰るつもりが、竜胆君のベッドで横になるこの状況もまたよくある事。

隣で寝息を立てる竜胆君が、身動ぎすると私より大きな体が私を更に抱き寄せる。

腕の中で、大事にされているみたい。
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