第5章 貴方の隣で
そうか、あれは蘭さんの愛情表現なのか。
うん、分かりにくい。
「そんな、の……言われないと、分かりませんっ……」
「女に執着しない俺が、手も出さずに一人の女をこんなに大事にして甘やかすの、今までなかったんだぜ? だけ特別なの、分かる?」
優しく微笑む蘭さんの言葉に、心臓が跳ねる。
蘭さんの唯一で、特別。
何だか、くすぐったい。
「じゃー、お互いの気持ちが分かったところで……エロい事していーい?」
いつもは嫌だと言っても勝手に抱くのに。
けど、私には引っかかっている事があるわけで。
「嫌、です……」
「えぇー……何でー? あぁ、香水か……」
そこの解決がまだだから。
蘭さんは立ち上がって、何処からともなく小さな紙袋を持って来た。
「開けてみ?」
紙袋の中の、綺麗にラッピングされている長細い箱を開けると、シルバーのシンプルなネックレスが入っていた。
蘭さんを見ると、それを手に取った。
「頼んでたの確認がてら、取りに行ってた。多分その時匂い移ったんだろーな。そこだけしか行ってねぇし。安心したか?」
ふわっと笑い、私の背後に回って付けてくれる。
「あの……でも、私何も返せないっ……」
「安心しろ、今から返してもらうから、気にすんな」
言うが早いか、蘭さんに押し倒される。
悪戯っ子みたいな顔から、男の顔に変わる瞬間、体がゾクリとして熱くなってくる。
「期待してる? やらしい顔になってんぞ……誘ってんの?」
「ぁ……ちがっ……」
脚を撫でる手がいやらしくて、体を捩る。
「うっそー。んじゃぁ、体に聞いてみよーか……」
「あぁっ……」
首筋を舐め上げられ、脚から上がってきてお尻を撫でて揉まれる。
久しぶりにこうやって触れられると、体中が性感帯になったみたいで、疼き始める。
「……好きだ……」
「蘭、さっ……ンんっ……」
耳元で囁いた唇で、唇を塞がれた。
私はずっと、この人に甘やかされて、翻弄されて、溺れて行くんだろう。
私からも、何か少しづつでも返して行けたらいいな。
【完】