第1章 最悪な関係の始まり
角度を変えて何度もいやらしいキスが繰り返され、口内で暴れ回る舌の感触と、初めての行為にどう呼吸するべきか分からず、酸素が回らなくなった頭が朦朧としてくる。
「口閉じんな……息は鼻ですんの。やってみ?」
「はっ、でき、なっ……んンっ……」
こんな状況で、私は何を教えられてるんだろう。
こんな事、覚えたくないし、したくない。
だけど、怖くて私は何も出来ずにいた。
キスをされながら、体を撫でて這い回る手に鳥肌が立つ。
胸を散々弄ばれ、意味の分からない感触に翻弄されていると、もう抵抗する気力を削がれていて、なすがままになる。
諦めている私に、抵抗する力を呼び戻したのは、彼の手がスカートの中に入った時だった。
「ぁっ、やっ!」
「何? 大人しかったのに、やっぱここは恥ずかしいか?」
恥ずかしいなんてもんじゃない。排泄に使う場所を触られて、平気なわけがない。
なのに、目の前の男は心底楽しそうに笑って、止めてくれる気配はない。
私の気持ちなんて汲んでくれるわけもなく、どんどん先へと進む行為に、残酷にも体は喜び始める。
「んっ、あぁっ……」
「いい声出て来たじゃん……」
出したくて出してるわけでも、感じたくて感じてるわけじゃない。
感じてるなんて、考えるだけでも悔しくてまた涙が出た。
更にエスカレートして行って、私は考える力がなくなってきていた。
そして、ついに私は彼に初めてを奪われる。その時は呆気なく訪れた。
「いゃ……や、ぃ、ああぁぁぁあぁっ!」
私が引いた腰を引き寄せ、突き入れた自身をゆるゆる動かしながら、ゆっくり進入して来る。
熱くて表しようのない痛みに、枕を握り締める。
「んっ、ほら、はぁ……力抜けっ……ゆっくり息吐いてみ」
「ぅっ……ぁ、出来なっ……」
「いいから騙されたと思って、やってみろ……」
痛みが少しでも和らげばいいと、願いを込めて言われた通りにする。
どうしてか、私がそうしている間は彼も動きを止めてくれている。
ただ犯すだけなら、気遣いなんてする必要ないはずなのに。彼は何を考えているんだろう。
変な所で優しくする彼に戸惑いながら、慣れ始めた体が少しづつ気持ちよさを探して掬う。
揺さぶられながら喘ぐ声が甘くなる。