第3章 変化
〔灰谷蘭side〕
竜胆の隣で笑う女に、血が騒いだ。
純情そうで、何も知らなそうなこの女を穢したい衝動に駆られる。
不安そうでいつも怯えたような女を、無理矢理抱いた。
小さくて、華奢な体は、乱暴にしたらすぐに壊れそうで、最初は優しく抱いた。
俺が柄にもなく女を優しく抱いたのは、この時が初めてだった。
勿論、最初は俺の周りにいない女っていう、ある意味好奇心みたいなのもあった。
だから、竜胆がを好きなのを知って、悪戯心と可愛い弟の想い人に先に手を出した償い、みたいな気持ちで竜胆を誘った事もあった。
まさか、竜胆が混ざるとは予想していなかったけど。
三人の興奮がリビングに充満する。
「ほら、お口がお留守だろ。しっかり舌絡めろ……」
俺のを咥えながら、後ろから竜胆に突かれて喘ぐの髪に指を絡めた。
「っ、っ……」
夢中で腰を振りながら、名前を愛おしそうに呼ぶ竜胆に、何か不思議な気持ちになる。
それが苛立ちだと分かるのは、少し先だ。
俺が放置したの世話を、毎回竜胆がしているのにも、その世話の延長で二人がセックスしてるのも気づいている。
まるで自分のだと知らせるみたいな、体中に付けられた無数の赤い痕。
体を重ねる回数が増える度に、その赤い場所を無意識に口付ける。
最近、ますます竜胆がを守るかのような行動をする。
俺は、それが気に入らなくなっていた。
それに加えて、俺を見つけて逃げるの背中を、目だけで追って立ち上がる。
周りを囲んでいた女達の引き止める声を無視し、俺はの後を追う。
渡り廊下を通り、校舎に入ってすぐに座り込むがいた。
抱きしめたい衝動を抑え、体を密着させて後ろにしゃがむ。
怯えているのが分かる。これは俺のせいだから百歩譲って仕方ないとして、いくら何でもビビりすぎだろ。
に暴力を振るった事もつもりもないし、特に怒ってもない。
最近やたら何もしてないのに、は謝る癖みたいなものがついていた。
そういえば、前にが友達と話しながら笑っているのを見た事がある。