• テキストサイズ

恋綴〜イケメン戦国短篇集

第3章 聖なる夜に ☆*:.。. 徳川家康 .。.:*☆


けれども、ここは乱世。
天下人たる信長様のお膝元であり西洋文化が積極的に取り入れられている安土であるとはいえ、さすがにクリスマスは500年後の文化だろう。
城下には南蛮寺があり宣教師達もいるが、クリスマスの話は聞いたことがなかったからだ。

「クリスマスかぁ…チキンにケーキ、シャンパンなんか飲んだりして…毎年、友達と集まってワイワイやってたなぁ…懐かしい!」

現代にいた頃の私は彼氏がいなかったから、専ら仲の良い女友達との女子会を楽しんでいたものだ。
美味しい料理にちょっと高めのお酒を用意して、女同士の会話に時間を忘れて過ごした。
楽しかった思い出が頭を過ぎり、忘れかけていた現代の生活の記憶が郷愁を誘う。

「うわぁ、ほんと懐かしくなってきた。クリスマス、やりたくなってきたなぁ…あ、でも、こっちでも宴はできるけどクリスマスメニューはさすがに無理だよね」

「完全再現は難しいかもしれないけど…香草たっぷりのローストチキンは無理でも野生味溢れる鶏の丸焼きとか…生クリームのデコレーションケーキはハードル高すぎだけどカステラなら焼けるし…シャンパンは無理でもワインならこの時代にもある」

「わっ、凄い!佐助くん」

次々とアイデアを口にする佐助くんの話を聞いていると、乱世流クリスマスが実現可能な気がしてくる。
佐助くんの戦国時代を楽しむスキルはハイレベル過ぎて、いつも感心するばかりだ。

「俺は明日にはもう越後に戻らないといけないから君のクリスマス計画には協力できないけど、この時代でも是非クリスマスを楽しんで欲しい」

「ありがとう。料理は政宗にも相談してみるよ」

「素敵なクリスマスになるといいね。俺の観測どおりホワイトクリスマスになるように祈ってる」

「ふふ…佐助くんの予報に間違いはないだろうから、それも楽しみにしてるよ」

楽しい想像に想いを馳せ、佐助くんと二人顔を見合わせて笑い合ったその時……

「怜……えっ、何?何であんたがここにいるわけ?佐助」

「家康っ!」

自室の入り口の襖が開き、顔を見せたのは家康だった。

「ご無沙汰してます、家康公」

家康の姿を見た佐助くんは、すっと背筋を伸ばして礼儀正しく挨拶をした。
戦国武将好きの佐助くんの中でも家康は最推し武将らしく、家康を見つめる佐助くんの目は限りない尊敬の色を湛えている。


/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp