第2章 貴方と過ごす特別な日 ☆*:.。.伊達政宗.。.:*☆
「あれ〜、怜様?」
店先に並べられた食材を見ながら、いかにして調理をするべきかと頭を悩ませていると、背後から聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。
「蘭丸くん!」
声の主は蘭丸くんだった。
相変わらずキラキラ輝く笑顔が眩しい。
「怜様、一人?政宗様は一緒じゃないんだね」
「うん、政宗は戦の準備があって…私は食材の調達に来たんだ。蘭丸くんはどうしたの?」
「俺は信長様のお遣いと、そのついでに情報収集ってところかな!それにしても、すごく沢山買い込んだね」
蘭丸くんは、両手一杯に食材を抱えた私を目を丸くして見る。
あれもこれもと買っていたら、いつの間にか持ちきれないほどの量になっていた。
「俺、用事はもう済んで帰るところだったから、運ぶの手伝ってあげるよ!」
「えっ…悪いよ、そんな…重いし…」
「平気平気!こう見えて力持ちなんだよ、俺」
ニコニコと屈託なく笑う蘭丸くんに、ひょいっと風呂敷包みを奪われてしまった。
(わっ…ほんと軽々って感じ…蘭丸くんって見た目と違って実は男らしいんだ…)
美少年の意外な一面を見て、何だかキュンとしてしまった。
蘭丸くんと並んで話をしながら大通りを歩く。
「へぇ…じゃあ、これは政宗様の誕生日のお祝い用の食材なんだね。戦場で誕生日を祝う…なんて、政宗様らしい思いつきだね!」
「ふふ…そうだよね。政宗は、どんな状況でも精一杯楽しもうとする人だから…」
(私は政宗のそういうところを好きになったんだよね)
「そんな政宗様について行く怜様も凄い人だと思うよ」
「えっ、そ、そうかなぁ」
「そうだよ!きっとそんな怜様だからこそ、政宗様も怜様を選んだんだよね〜」
「っ……」
(そんな風に言われると、何か照れるな…)
蘭丸くんの思いも寄らない一言に、かぁっと頬が熱くなった。
「ふふ…怜様ったら、顔、真っ赤。可愛い〜」
ふふふ…と意味深に笑うと、蘭丸くんは私の頬を指先でツンッと優しく突いた。
その仕草が意外なほど艶めかしくて、胸がトクンッと大きな音を立てた。