第2章 貴方と過ごす特別な日 ☆*:.。.伊達政宗.。.:*☆
「ほら、素直に言ってみろ。俺に隠し事なんて五百年早いぞ」
頬をプニっと押されてしまう。
「っ…もぅ、政宗ったら…あのね、本当はちょっと落ち込んじゃった。政宗の誕生日、当日にお祝いしたかったけど、戦じゃ仕方がないものね」
「誕生日か…その頃はちょうど戦の最中になるな」
「うん…だからお祝いは政宗が戦から戻ってからにするね。私にできることは少ないけど、政宗が無事に戻れるよう信じて待ってる」
たとえ当日にお祝いができなくても、政宗が戦に勝って怪我なく戻って来られたら…それだけで充分だと思った。
政宗の生まれたその日を一緒に迎えられることができないのは残念だが、誕生日は今年だけではない。
来年も再来年も、その先も…政宗が政宗らしく生きて、その隣に私もいられたら…それだけで幸せだと思えた。
「何だ、随分と物分かりがいいこと言うんだな」
揶揄うような口調で言われて、戸惑ってしまう。
「だって…戦じゃ仕方ないよ」
「俺は、仕方ないなんて言葉は好きじゃない。俺はお前からの誕生日の祝いも戦の勝利も両方欲しい」
「それは…だから、誕生日のお祝いは戦から戻ってから…」
「戦場でも祝いはできるだろ?」
「えっ…?」
「一緒に来い、怜。お前が俺を祝ってくれるなら、場所なんてどこでもいい。どこに行こうと俺はお前を守る。何も心配いらない」
「政宗…」
(戦場で政宗の誕生日を祝うなんて、考えもしなかった。でも、政宗がそんな風に言ってくれるってことは、政宗自身も誕生日を楽しみにしてくれてるってことだよね。だったら…私も楽しもう)
「怜、返事は?」
政宗は私の髪を優しく梳きながら顔を覗き込む。
自信に満ち溢れたその顔を見て、私の中で覚悟が決まった。
「政宗…私、一緒に行く!戦場で精一杯、政宗をお祝いするから…楽しみにしてて!」
「おぅ、お前が心置きなく準備に専念できるように、俺がお前を守ってやる。危険な目になんて合わせないからな」
「っ…あっ…政宗っ…」
政宗の手に顎先を捉えられてクイッと持ち上げられると、熱い唇が重なった。
ちゅっ、ちゅっ、と上唇を啄むように喰まれて、身体の奥の熱を煽られる。
腰に回された腕に力が篭り、互いの身体が密着する。
政宗の手が背中をゆっくりと上から下へと撫で下りていく感触に、我を忘れてしまいそうになった。