桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第15章 夏バテはコーヒーの味【トラファルガー・ロー】
「んー…?」
目が覚めると其処は見慣れない天井だけど、壁の色とかは見覚えがある。ふかふかのベッドからは消毒液のような匂いがした。
「気がついたか、じゃじゃ馬」
「…んえ、っ?!ろ、ロー、さん…?え?!」
突然降ってきた声に見上げれば其処にいたのはローさんで、確かにこのベッドからはローさんの匂いがすると気付いてしまうと勢いよく起き上がった。
しかし、急に起き上がったせいでふらついてしまった私は倒れ込んだ時の衝撃に耐えるために目を瞑った…のだが、いくら待ってもその衝撃は来ない。
恐る恐る目を開ければ、ローさんが私を支えてくれていた。
「テメェ…船長命令が聞けねェんなら一生この部屋に監禁するぞ?」
「ひぃっ…!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」
「無駄に露出すんな。医者の言うことは聞け。俺以外の男に易々と触らせるな。」
「は、は、はいぃい!!」
至近距離で御尊顔を目の当たりしてしまえば顔が熱くなるのは仕方ないと思う。でも、そのまま額と額がくっつけば唇まで残り数センチ…
少し期待をして目を閉じてしまった私に降ってきたのは見当違いの言葉。
「熱はねぇけど、暫くは安静にしとけ。いいな?」
「へ…?!あ、…え、は、はい。」
ああ、そういうこと…?
キスされるかも…と一人で期待してしまったことで下を向いて羞恥に耐えていると、今度は彼に肩を押されてベッドに体が沈み込む。
ああ、寝ろってことね?
そう思ったのにため息と共に降ってきたのは彼の唇で私は目を見開いた。
「んんっ、んーーー!!」
あまりに唐突で目を瞑ることも鼻で呼吸することもできなかった。
でも、初めてのキスはコーヒーの味がした。