桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第15章 夏バテはコーヒーの味【トラファルガー・ロー】
「ったく…もっと色気のある声は出せねぇのか。」
「だ、だ、だって…!初めて…!キスしたんです…!」
「いいか、よく聞け。お前は俺のモンだ。分かったな?」
「は、はい…。」
外の暑さとは別の熱さが顔を包み込んでいくせいで沸騰しそうだった。
きっと私の顔は真っ赤に染まっているだろう。
そんな私の頭に手を乗せて、ローさんらしからぬ優しい顔をして撫でてくれるので、益々顔が熱くなる。
「白湯を持ってきてやる。暫くは冷たい物は禁止だ。」
頭の上に置かれた手の重さが心地よかったのに、それを離されてしまえば急に物足りなく感じた。しかし、ドアに向かって歩いていくローさんの後ろ姿を見つめていると、急に彼が立ち止まった。
「…その服は似合ってる。」
「え…?」
「だが、俺がいる時だけにしろ。」
それだけ言うとドアを開けて出て行ってしまったけど、見間違いでなければ…ローさんの耳が赤くなっていたのが嬉しくて私はそのままベッドに突っ伏す。
暑い、熱い、夏島の日差しの中、突然始まったその恋はアイスクリームのように甘く、ポーラタンク号の中で溶けていった。