桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第15章 夏バテはコーヒーの味【トラファルガー・ロー】
先程、女扱いされなかったことにムッとしていた私はその場で「はーい」と仕方なく返事をしたが、言いつけを守らずに島に着くとすぐにそのまま下船した。
ベポの後ろに張り付いて降りればローさんに見られることもないので、意気揚々と島に降り立つと真っ直ぐに街に向かって歩き出した。
ログが貯まるのは三日と言っていたし、海軍もいなさそうだし、ゆっくりできそうな穏やかな島。
ローさんは誘えないけど海岸沿いなら海水浴もできそうだ。
暫く歩いていると可愛らしいお店が何軒も目に入り、思わずスキップしてしまった。
冷たくて甘いソフトクリーム、フルーツたっぷりのパフェ、ふわふわのかき氷
夏島ならではのフルーツを使った美味しいスイーツに舌鼓をしながら、何軒ものお店をはしごした。
しかし、漸くお腹が落ち着いた頃、最後のお店から出たところで急にふわふわと足元がふらついた。
「…やば、食べすぎたのかな。」
流石に冷たいものばかり食べすぎたのかちょっと体も寒い気がするが、ローさんの言いつけを守らずに出てきてしまったから着る物はない。
肩口にあるお気に入りポイントのフリルをローさんに見せたかったからなのに、全然そんなこと気にしてくれなくて医者の観点からの物言いに腹が立ってしまったのだ。
こんなことならば彼の言うことを聞いておけば良かった。
その場に蹲るとふわふわする感覚が落ち着くまで休んでいこうと腰を下ろしたが、座っていてもその感覚が治まることはない。しかも容赦なく照りつける太陽がジリジリと頭を焼き付けていくので額には汗が滴る。
「…う、ローさん…ごめんなさい…」
そう言って地面を見つめていると其処に大きな影が出来た。すぐにそれがローさんだと思った私は嬉しくて立ち上がったが、視界に広がったのは真っ赤な髪の見覚えのある人。
「あ?お前、トラファルガーのとこの女じゃねぇか。こんなところで何してんだ。」
名前は…えっと、たしか…ユースタス屋さん…。
だけど勢いよく立ち上がったからなのか、食べすぎたからなのかは分からないが、ふわふわとした感覚が酷くなって私の視界は真っ白になった。