桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第15章 夏バテはコーヒーの味【トラファルガー・ロー】
グランドラインと言えばわけのわからない天候が突然現れることで有名なのだが、ここ最近は夏だ。
夏、なつ、常夏!!!
「あつーい…しぬぅ…」
「夏島の海域なんだから当たり前だろ。」
我らが船長、トラファルガー・ローさんは寒いところの出身なのに特に気にするそぶりもなく、カップに入ってるホットコーヒーを飲んだ。
このクソ暑い日によく熱い飲み物を飲む気になるな。
「何だ、その視線は。」
どうやら辛辣な目線を向けていたのが気付かれたようでローさんはこちらを刃物のような視線で射抜いた。
「いえ、だって…このクソ暑い日によくそんな熱いもの飲めますね…?今わたしはアイスが食べたいです。」
「お前が冷たいモンばっかり食いすぎなんだ。体を冷やすぞ。女なんだからもっと気を使え。」
そうは言われても暑い日に熱いものを飲む方がよっぽど体に悪い気がしてならない。しかしながらローさんは心配性で、小言が始まれば数時間平気で話し続ける。この前は冬島の海域で薄着で甲板に出ていたら毛布でぐるぐる巻きにされた。心配してくれるのはありがたいが、寒さに強い私からしたら大したことなかった。
それよりも今の方がよっぽど堪えるのだ。
「…どーせ、女っぽくないですよぉ〜だ。」
「何不貞腐れてんだ。もうすぐ島に着くらしいから降りるなら準備しておけよ。」
そう言って持っていた分厚い医学書に目線を戻したので、私は下船の準備のために部屋に向かった。
クルーは全員お揃いのツナギを着ているけど、私は可愛くないから着たくないとワガママを言って着ていない。そんな私が下船のために着替えたのは買ったばかりの夏用のノースリーブのワンピース。暑いんだからもちろん上着なんて必要ない。素足にサンダルを履いて、再び甲板に行けばもうすぐ其処まで島が近づいているのが分かる。
熱い日差しに汗を拭いながら、アイスティーを飲み干すと今か今かと待ち侘びる。
「おい、お前は痴女か。上着持ってこい。足もそんなに出すな。冷えるぞ。」
「えー?!嫌です!このワンピースはこの肩の部分が可愛いんですよ?!」
「知るか。外は暑いが店の中は涼しかったりするだろうが。」