桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第14章 雑念を君だけに【トラファルガー・ロー】
「…よく話す、わけじゃないけど…たまに体調不良で寝に来てたから知ってるだけだよ。」
「そっか!ねぇ、先生‼︎お願い、協力して‼︎告白する時ちょっとだけ保健室貸して‼︎」
「…え、ええ?!それは…ちょっと…」
「お願いお願いお願いーー!フラれた時誰かに見られてたなんて恥ずかしすぎるもん‼︎すぐ済む‼︎5分でいいから‼︎」
普段ならそんなことは許可などしない。
自分は教師なのだ。生徒の個人的なお願いを聞くなどするわけには行かないから。
しかし、ローの個人情報を漏らしてしまったことでこの子の言うことを聞くことが何故だか免罪符になる気がしてしまった。双方がイコールとなる事などあり得ない事だというのに、私はまた間違いを犯した。
***
最近できた恋人は隣の家で幼い頃から共に育った幼馴染の女。コロコロと表情が変わる可愛らしい彼女は歳の差を感じさせない。
いつも一生懸命な彼女に恋心を抱くのは普通のことだ。試しに付き合った女もいたが、結局は欲しい女はアイツなのだという答えに行き着いた。
そこからはもう一択だ。
弟のように思われていたのも知っていたから実力行使をしてやった。精神的に落ち込んでいた時期につけこんでヤった。
体を重ねれば真面目なアイツのことだから付き合えると思った。
案の定、翌日10代の自分と行為に及んだことへ責任を感じた彼女は"付き合う?"と遠慮がちに聞いてきた。
「…ねぇ、ロー?」
家も隣のコイツとは親同士も仲が良いことを知っていたのでお互いの部屋に居ても何も言われない。口にはしていないが付き合ってることも何となくバレていると思う。
「あ?何だよ。」
既に年明けに医学部に推薦で合格していた自分は受験勉強などはもう必要ない。そもそもそこまで勉強していたわけでもないが。
だからコイツの部屋のベッドで寝転がって読書をしていたとて何の問題もない。
「…私がローに告白する女の子の協力したら怒る?」
「……は?」
視線は分厚い病理学の本から椅子に座ったまま下を向いている彼女に向けられる。
全く話の意図がわからない。