桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第14章 雑念を君だけに【トラファルガー・ロー】
「…お願い‼︎ほら、授業出てきて?ね?」
「チッ…、分かった。帰ったら覚悟しておけよ。」
頭2つ分ほど背の高い彼に頭を撫でられるとドキドキとしてしまう。年下になんて興味なかったのにローと付き合ってしまってからというものドキドキと胸は高鳴ってしまう。
胸に手を当てて、大きく息を吐くとやっとデスクに座ってパソコンを開けた。彼氏がいる職場というのはこうやって顔が見える利点もあるが不自由を強いられることも多い。
*
ローは学年主席の上、あの容姿で彼のことを知らない人はいないだろうというほどの凄まじい人気ぶり。
当の本人は飄々としていて全く興味がなさそうなのだが、そんな彼と付き合っているなどと言えるわけもないし、そのモテっぷりをただただ見ていることを強いられるのだ。
「ねぇ〜!先生!私、トラファルガー君に告白しようと思うの…‼︎どう思う?」
養護教諭と言うのは心理的な相談も仕事の内とは言え、自分の彼氏に告白することへの相談を受けねばならないことほど苦痛なことはない。
「へ、ヘェ…。そうなんだね。で、でも、トラファルガー君って人気なんじゃないの?」
「そうなんですよぉ〜!でも、バレンタインに告白、しようかなって…‼︎」
「…あ、受験は大丈夫なの?お、終わってからのがいいんじゃない?トラファルガー君は推薦で決まってるみたいだけど。」
「え?!そうなんですか?」
振り向いた彼女の驚いた顔に今の情報がまだ"自分しか知り得ない情報"だったことに気づく。
昨日、彼がベッドの中に言っていたことなのだ。冬真っ只中なのに変な汗が噴き出した。
「あー…え、と本人から、聞いたの。」
「ここに来たんですか?!え、先生トラファルガー君とよく話すの?」
目を輝かせる彼女を見るだけでこれから起こり得ることが容易に想像できてしまう。そもそも彼氏とは言え生徒の個人情報を他の生徒にホイホイと話してしまった自分への自己嫌悪に胸が苦しくなった。