桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第14章 雑念を君だけに【トラファルガー・ロー】
──シャーッ
「アイツ、阿呆かよ。テメェはその雑念で生まれてきたんだろうが。」
──例えば、大した体調不良でもないのにただ寝に来る生徒
「あのね…ろ、…トラファルガー君とは違うの。ほら、頭痛いの治った?教室に戻りなさい。」
「お前、ああいうのは適当にあしらえよ。好意を持たれたらどうするつもりだ。オレはアイツをボコるしかなくなるが。」
「ちょっと…!せ、先生って呼びなさい…!」
あの子が帰るとベッドのカーテンを開けて呆れたようにこちらを見ているこの生徒。
目の下のクマは目立つが端正な顔の彼にジッと見つめられるとドキンと胸が跳ねる。特に自分はイケメン好きというわけではない。これには理由がある。
「うるせェな。自分の女をどう呼ぼうとオレの勝手だろ。」
そう。この人は私の彼氏。細かく言うとここに赴任になる前に付き合い始めた幼馴染のロー。
まさか年下と付き合うことになるとは思わなかったが、採用試験でメンタルをやられていた時に励ましてくれた彼に流されてヤってしまった。5歳差なので昔は"お姉ちゃん!"と可愛い可愛い弟のような存在だったのだが今やこの暴君。
「し、シーーーーッ‼︎静かにしてよぉ…!」
折角夢だった養護教諭になれたと言うのに生徒に手を出したなんてことが知られたら私はどうなってしまうのだ…‼︎
何故ここに決まってしまったのだろうか。採用試験合格という嬉しい知らせと共に舞い込んで来たのは赴任先の高校が彼氏が通う高校という不運な事実。
「なぁ、キスしろ。」
「できるかぁっ!!家帰ったらしてあげるから…‼︎ね?お願い。」
「あ?ガキ扱いすんな。」
されたくないなら我儘を言わないでほしい。
辛うじてエタノールの匂いとチャイムの音で仕事中だと歯止めをかける。こちらだって家であれば彼と口づけを交わすことも体を重ねることもあるが、ここは学校だ。