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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第13章 君との合図【トラファルガー・ロー】






一度は誰もが見たことのある高級車に乗せてもらって家に帰る道中、先生はあまり喋ってくれない。何を考えているのかは分からない。

だけど、降りる直前に必ず頭を撫でてくれる。

その手が凄く温かくて泣きそうになるのだ。これが最後だったらどうしよう。いつもこの瞬間にそう考えてしまう。


先生の車を見送るとリビングでテレビを見ていた母親に"おかえり"と迎え入れられるが視線はすぐにテレビに向けられていてアナウンサーがニュースを読み上げているのを見ていた。

その母を横目にキッチンの冷蔵庫に向かうと、先生との行為に没頭したせいで渇いてしまった喉を潤す為に冷蔵庫に向かう。

扉を開けるとひんやりとした空気が火照った体を冷ましていく。


ーー都立〇〇学園高等学校の20代教師が10代の生徒に性的行為を強要したとして逮捕されました。



この時間のニュースなんて事件や事故ばかりだ。しかし、画面を見ていないのにそのニュースの内容だけが妙にリアルに耳に入ってきた。逮捕…?

まさか、先生は…私とセックスしたら逮捕されちゃう、わけじゃない、よね?冷蔵庫から出した麦茶のボトルを持つ手が震えていた。


「…ね、ねぇ、お母さん…。」

「ん?なぁに?」

「20代の人が10代に手を出したらダメ、なの?」


声が震えないように極力笑顔で母親の姿をとらえる。


「18歳未満はダメなんじゃない?あ、でも真剣交際なら問題ないみたいよ。」


ーー真剣交際?


私と先生は交際しているわけではない。ただ私が先生との関係を続けたいと頼んだ。
始まりだって私が押しに押して先生に抱いてくれとせがんだ。だけど、先生は物凄いリスクを負って自分の願いを叶えてくれていたというのか?


知らなかったとは言え何と言うことをしてしまったのだろう。自分のしている行為は先生を社会的に追い詰めることなのだとこの時初めて知った。

全身から血の気が引いていく。
震える手で持っていた麦茶をグラスに注ぎ、一気に飲み干すと風呂場に直行した。ナイロンタオルにボディソープをたっぷり含ませると体をゴシゴシと洗い始める。


(消えろ、消えろ、消えろ!抱かれてない。私は先生に抱かれてなんてない!)


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