桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第12章 いつか来る終息へ【トラファルガー・ロー】
「…本当は明日の卒業式に渡そうと思ってたが…残念だったな。本来ならこれを手渡したいところなんだが、オレは医者だ。どこで接触しててもおかしくない。」
「…ろ、ロー…」
「だから…ここに置いておく。後で取りに来い。終息したら今回行けなくなった卒業旅行はオレが連れて行ってやる。」
外は寒い。もうすぐ春なのに今日は昼間にみぞれが降るほどの寒さ。私たちの間にお互いの白い息が視界を邪魔する。
だけど、今邪魔をしているのは自分の涙だ。ただ会えないと言うだけで不貞腐れていた自分だが、彼はもっと過酷な環境に身を置いてるのにも関わらず、こうやって自分のことを考えてくれていた。
その事実が嬉しくて、不貞腐れていた自分が情けなくて色々な感情が涙に混じり、こぼれ落ちて行く。
「あ、ありがと、う…。あ、会いたくて、会いたくて…死にそうだった…!」
「ンなことで死ぬな。アホか。」
「でも、ね…顔見ただけで…ね、もっともっと好きになっちゃってね、もっともっと会いたくなっちゃった。」
「…ああ。」
私の顔はきっとぐちゃぐちゃでブサイクな顔をしているだろう。
どこに出かけるわけでもないためスッピンの上、コンタクトも外してメガネは外との温度差で曇ってしまってカッコ悪い。
本当は今すぐ彼に抱きつきたい。
でも、できない。したらいけない。