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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第12章 いつか来る終息へ【トラファルガー・ロー】







「…オレも我慢できないからここに来た。また来るから泣くな。」

「う、うん…!ありがとう。何かロミオとジュリエットみたい…!」

「やめろ、あれは悲劇だぞ。」

「あ、そ、そっか…」


ボケた発言にツッコミを入れてくれる光景はいつもの私たちの日常。どちらかともなく笑い合うとお互いの白い息が同じ空に吸い込まれる。


「…風邪ひくなよ。何かあればすぐに連絡しろ。」

「うん。ありがとう。」

「ああ。これ、忘れんなよ。」


花束を指差すとニヤリと笑うが、忘れるわけがない。男性に花束を貰うなんて初めてのことだ。

あんな感染対策をしてまで花束を渡しにきてくれるためだけに会いにきてくれた。

窓から手を上げてくれる彼を見送ると階段をドタバタと降りて行き花束を取りに行く。


一階にいる母からは再び怒りの声が聞こえてくるが、先ほどとは違い"ごめんごめん!"と自然と謝罪の言葉が出る。
たったこれだけなのに何と現金な女なのだ。


暗闇の中、その黄色のガーベラは希望の光に見えた。彼だと思ってしばらくそこで花束を抱きしめる。

花のいい香りと共に彼の匂いがした気がした。


誰のせいでもない。
誰を責めるわけにもいかない。

不自由な現実にめげそうになっていたけど永遠に続くわけではない。

だったら彼との未来に想いを馳せよう。


いつか来る終息へ








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