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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第11章 涙の意味【トラファルガー・ロー】





 

しかし、人と言うのは欲が出る生き物だ。

彼が自分のために休みを取ってくれたというのにタイミング悪く自分は休みにしていないなんて事象が悔しくてたまらない。


定時は17時だが、仕事をしている9時間程で何ができたであろうか。

海までドライブ?それともただ街をぶらぶらするだけのウィンドウショッピングもいい。
別にどこかに行かなくても彼と一緒に過ごせるということが私に取って宝物なのだ。

忙しくてなかなか休みが合わない私たちはデートらしいデートはあまりしたことがない。だからこそ今回みたいな自分の運の無さは"日頃の行い"によるものなのではないかとネガティブな考えばかりが頭を埋め尽くす。


朝からデスクに溜まった鬼のような書類を片付けるがいつもはしないようなミスをして上司に怒られたのを皮切りに、昼一番にかかってきた電話が経験したことのないほど怒り狂ったお客様からのクレーム。
担当者がいないということで自分が悪いわけでもないのにひたすらデスクに向かって頭を下げ続けること1時間。この時点で精神はすり減っていてHPは残り30%程。


それでも17時の定時に向けて仕事をこなすのだが、あと1時間というところで朝のミスした書類の修正をしろと言われて涙ぐみながらパソコンと向き合うがこれでは17時には間に合わないのは明らかだった。

無言で叩くキーボードの音が涙腺を刺激する。
何故今日なのだ?アンラッキーにも程がある。唇を噛みながら必死にパソコンの画面を睨みつけた。ローが待っていると言うことだけが指を動かしていると言っても過言ではない。


「…よし、これでいい。お疲れ様。」

「あ、ありがとうございます!お疲れ様でした!」


何度目かの修正案に漸くOKが出たのは17時半だった。約束の18時には遅れてしまうだろう。



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