桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第10章 アホの集合体【トラファルガー・ロー】
「なんてことがあってさ〜…。もうびっくりした〜!」
「は?医事課の課長に言ったのか?」
「いやいや、恥ずかしくて言ってないの。」
「あ?アホか?お前は全世界のアホを寄せ集めたアホの集合体か。」
こんな大きな病院だけど、同じ時期に入局したDr.トラファルガー・ローとは何でも話せる友達。
こうやって無遠慮にお互い罵り合うこともできるし、お酒を飲み過ぎても平気でローの家に泊まれる。
男友達と言うのは出来たことなかったが、彼はまさに初めてできた"男友達"だった。
そんな彼とたまたま昼休憩で会ったので、朝の電話のことを話してみたら案の定馬鹿にされた。
院内のカフェテラスでアジフライ定食を食しながら呆れたような表情をされたので不満気にこちらも唇を尖らせた。
「アホの集合体って酷くない?だってパンツの色聞かれただけだよ。」
「聞かれただけって何だ。お前、そういうのを何というのか知ってるのか?」
呆れたように味噌汁を啜るとお碗を置くこともせずに箸で私を指す。
この男は人を指差したらダメだと教わらなかったのだろうか。まぁ、箸だが。
「迷惑行為防止条例違反。」
「め、めーわく…?」
「アホの集合体には分からんか。」
そう言うと再び味噌汁を啜り出したので苛ついて彼の皿に乗ったままだったアジフライに箸を突き刺してかぶりつき睨みつけてやった。
そんな私の些細な抵抗も私の皿に乗っていた唐揚げの残り2個全部を秒で掻っ攫われて後悔する羽目になったのは自分の方だった。
ローはそれはそれは優秀な外科医。
だけど何故か私と仲良くしてくれている。
まぁ、周りにいる彼の取り巻きは完全に彼目当てなのは分かりきっていたし、桃色の空気を纏った女性スタッフにうんざりしていたのもあるだろう。