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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第6章 タフショット【三井寿】






「…あ、あの…!三井選手ですか…?!」

話しかけてきた女の子は自分と同じ『14』番の青いユニフォームを身につけている。

試合会場からそう遠くもないココでファンの子に会うなんて不思議なことではない。

チラッとこちらを見る彼女は明らかに私の存在を気にしているようだった。


「私、トイレ行ってこよ〜っと。」


仕方ない。気を利かせてあげるからその間にサインでも写真でももらってくれ。
尿意など皆無だったが仕方ないのでその女の子を避けて彼の横を通り過ぎようとするとガシッと腕を掴まれた。



「そうですけど、今日は久しぶりに彼女と会ってるから…すみません。」

「…は?」


この男…。完全に私を使いやがった。

困惑した表情で申し訳なさそうに謝り、自分のテーブルに戻っていった彼女に冷や汗が流れ出た。

あと一杯くらいビールを飲みたかったが、居た堪れなくてミッチーの腕を引っ張り店を出る羽目になるとは誰が予想しようか。
眉間にシワを寄せたまま外に連れ出すと立ち止まり前につんのめる。

「おい、引っ張んなって。」

「いや、マジ何言ってんの?このデマがSNSで拡散されたらどうしてくれんの。仕事行けない。ファンに干される。怖いぃぃぃっ!!」


この男からしたらあの場を切り抜けるのに最適だったかもしれない。
だが、私にとっては最悪に他ならない。リーグNo.1シューターではあるが今回は当てが外れたようだ。

「…デマじゃなきゃいいんじゃねェの?」

「あ?何て?」

「そろそろ、付き合わねぇ?俺ら。」

そろそろとは何だ。
今まで甘い空気などあっただろうか?

「お前はどう思ってんのか知らねぇけど、俺は好きでもない女と2人で飯食いに行くとか無理だから。」


今までそんな素振り微塵も感じさせなかったではないか。
しかしながら意外にも女と2人で食事に行く行為自体が彼の中では結構な好意の現れだと言うのか?


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