桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第6章 タフショット【三井寿】
男と2人でご飯に行くなどこの年になれば普通じゃないか?
社会人ともなれば付き合いもあるし、好きでなくてもあるあるなのではないかと私は思う。
たまたまこの前にごはんに行った男は…ミッチー。
その前も…ミッチー。
そのまた前も…何故だかミッチーだけども‼︎
しかも、好きでもない女と2人で飯を食いに行かないとこの男は豪語した。
「え、ちょっと待って。ミッチー私のこと好きなの?」
「なっ!お前、出鼻挫くようなこと言うなよ‼︎今、言おうとしてただろ!」
耳まで赤くなった顔を大きな手で隠している彼にドクンと胸が跳ねた。
彼との関係は今も昔も変わらない。
選手とマネージャー
腐れ縁
友達
男として見たことなどなかったけど、彼のその態度で高鳴る鼓動が止められない。
しかしながらコレはまさか告白なのだろうか?
あんなにシュートは上手いくせに。
フリースローなんて97.4%の高確率のくせに。
告白は残りの2.6%の"失敗"に当てはまっているではないか。
「…もう一回する?」
「…お前が好きだ。」
「よく言えたね、この地獄の空気で。」
「俺は諦めの悪い男なんだ!駄目だとしても何度でも言うからいいんだよ!」
あまりにお粗末なそれにもう一度チャンスを与えてやったが、その瞳は"諦めが悪い男 三井寿"。
昔のまま変わらないその姿。
ミッチーの考えていた告白がどんなものだったのかは分かり得ないが、私の顔は完全に緩んでいた。
"かっこわりぃ…"と隣で項垂れている彼には見られたくない。もう少しだけ自分が優位に立っていたかったから。
ほんの少しの優しさで投げ出された手を絡ませると驚いたような顔をした後、抱き締めようとしてきたので鞄にしまってあった青いメガホンで頭を叩いてやった。
もっと好きにさせてみてよ。
あなたはリーグNo.1シューターなんでしょう?
このタフショットを決めたらあなたの勝ちだと認めてあげる。