桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第4章 靴下はもういらない【トラファルガー・ロー】
ローの胸で散々泣くと眠くなってすっかり寝てしまっていたのだが、気づくとローに抱きしめられたまま布団の中で包まっていた。
な、な、何ていう状況!!
スキンシップはしていたが、ここまで密着したことなど子どもの頃以来でドキドキしてきた。
「…その百面相なんとかならねぇのか。」
くぁーっと欠伸をすると急に起き上がるロー。
部屋の中の冷たい空気が布団の中に入ってきて身を縮こませた。
「ええ?!お、起きてたの??」
「起きたんだ。お前がゴロゴロ動くから。」
抱きしめられた身体の逞しさが急に思い出されて究極に恥ずかしい。
仕方なく、起き上がるとローを横目でチラッと見る。
「…おばさんがケンタッキー買ってきてたぞ。」
「うん…。」
クリスマスはケンタッキーに限るっていつも言ってたからそのことはローも知ってる。
食欲はなかったけど、ローに泣きついたらだいぶスッキリして、お腹が空いてきた。
「…あの、ロー、ありがとう。」
「相変わらず手足が冷たい奴だな。せっかく温めてやったんだから早く靴下履け。」
そう言われたら確かに冷たかった手足が温かくなってる。
ロー、それでベッドに入ってくれてたんだ。
その言葉に嬉しくなって、クローゼットを漁るとモコモコの靴下を履く。
「…お前の良さはオレじゃないとわからねぇんだから、オレにしとけ。」
「…え?」
小さな声で聞こえなかったので、立ち上がって振り返ると目の前にローの顔があった。
唇には柔らかい感触に後退りするが後頭部を掴まれて離れられない。
でも、何故か後退りはしても突き放すことはできなかった。
さっき初めて男の人なんだと実感して恥ずかしかったけど、
この行為が"嫌"だとは感じなかった。
ローの香水の匂いが安心する。
これは私が好きだと言った匂い。
いつの間にか大人になっていた幼馴染が頭の中を支配した。