桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第4章 靴下はもういらない【トラファルガー・ロー】
12月は実習のレポートを出すのと試験があったりと忙しかったが、やっと終わったと思ったら今日は24日のクリスマスイブ。
アイツは今頃、彼氏とデートでもしてるんだろうな。
考えたくもないが、街の中を歩くのはカップルばかりで嫌でも考えてしまう。
あれから2週間が経っていたが、パタリとの訪問はなくなっていたので彼氏とうまくいってるんだろう。
考えると苛ついてくるのだが、会わなければ考えなくて済んでいた。
欲しい医学書があったので本屋に寄ろうと街を歩いていると、どこかで見たことのある奴とすれ違った。
(…誰だ?どこかで見た。)
隣にいる女は見たことないが、誰かとセットで見た気がした。
それだけ思い出すと、急に鮮明に情景がフラッシュバックした。
(…の、彼氏?)
だが、隣の女は誰だ?
じゃない。
たまらず後ろを少しだけつけてみた。
腰に手を添えて、引き寄せるように歩く2人は恋人同士にしか見えない。
(はどうした?何故一緒じゃない。)
「…待て、聞きたいことがある。」
気付いたらその2人の前まで行き、自分より背の低いその男を見下ろすが、道でも聞かれたのかと思って好意的な反応をされる。
「何か?」
「…はどうした。」
の名前を出すと驚いて目を見開くその男と、きょとんとしている隣の女。
急に怪訝そうな顔をして睨み付けられる。
「って誰?」
「…元カノ。っつーか、誰だお前。アイツとはもう終わってんだよ。行くぞ。」
元カノ…?
ちょっと待て…。どういうことだ。
面倒そうに自分の隣を通り過ぎていくその2人をもう追いかける気にはならなかった。
じゃあ
何故、アイツは自分のところに来ないのだ。
いつもなら…わんわん泣いて慰めるのに、今回は来てすらいない。
慌てて家に向かって走り出した。
頭の中はでいっぱいだった。