桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第4章 靴下はもういらない【トラファルガー・ロー】
「…1ヶ月会ってないのはしばらく、じゃないかな?社会人の人と付き合ってる友達でも週に一度はデートしてるって…」
「忙しいって言ってるじゃん。悪いけどそういうの鬱陶しい。」
忙しいとは聞いてる。
それは分かってる。
でも、いくらなんでも会えなさすぎじゃないか。
一度言い返してしまうと不満が湧き出てきた。
「…鬱陶しい、って何?私、我慢してたよ。付き合ってるのに月に1回も会えないって変じゃない?」
「じゃあ、やめるか。」
「え?」
「そんなに不満ならもう別れよう。その方がお互いのためだよ。」
一度反論しただけで別れ話になるの?
喧嘩なんてしたことなかった。
でも、こんなことで別れ話になるほど…
自分のことなど大してもう好きでないということだ。
こんな喧嘩などローとだったら何度もしてる。
「……私のこと、もう好きじゃないんだね。」
「正直言うとそうだね。社会人になると周りは大人の女性ばかりだし、みたいに子どもっぽい考え方には少しうんざりしてきてた。」
「…そ、か。」
泣かない。
絶対に泣くもんか。
余計、子どもっぽいって言われてしまう。
最後くらいカッコつけたい。
「…い、今まで、ありがとう。」
「ああ、元気で。」
言い終わるや否や速攻でプツンと切れる通話が無音の部屋の中で存在感を放つ。
私、我慢してたじゃん。
1ヶ月もワガママ言わないで待ってたじゃん。
その前も、その前も、その前も…
子どもっぽい、って何だろう?
昔は私の天真爛漫なところが好きって言ってくれたのに、それは今では子どもっぽいになってしまうんだ。
冷たい素足がかじかんでいた。
ローの言う通り、靴下履けばよかった。
だって靴下履いてると窮屈なんだもん。
こういう時、ローに泣きつきたいけど…彼にもたった今、追い出されたところじゃないか。
急にこの世界でたった1人置いてけぼりにされたように感じてしまった。