桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第4章 靴下はもういらない【トラファルガー・ロー】
どうしてアイツはああも馬鹿なのだろうか。
人の家に押しかける時と言えば決まって彼氏とうまくいっていない時。
もしくは暇な時。
幼馴染とは言え、男の部屋に入り浸りベッドに寝転がる無防備な姿に苛々が募る。
それもこれも全て1ヶ月前にアイツが男と歩いているのを見てから。
彼氏がいたのは知っていた。
それどころか歴代の彼氏は全員知っている。
だが、会ったことはない。
2人でいるところも見たことがなかった。
それなのに街で2人で手を繋いで歩いているの姿を見て信じられないほど動揺した。
自分の知らない男の前で見たこともない女の顔をした幼馴染の姿に狼狽た。
自分だって付き合っている女くらい何人もいたし、女に困ったことなどない。
なのに突然女の顔をした幼馴染を見てしまい、どうしようもないのに急に女として意識してしまった。
元々家も隣同士
親同士も仲が良い
更に同い年ということもあり、は事あるごとに自分のところに来ては戯れてくる犬みたいな奴。
今日も例によって例の如く、彼氏とうまくいっていないのか急に押しかけてきだと思えば、かまってくれと後ろから抱きついてきたり、ベッドで寝転んだりやりたい放題。
男として見られていないことにも苛つくし、自分だけ女として意識してしまったことが何とも悔しくて抱えて外に出した。
(…何が会いたい、だ。デリカシーない奴。)
毎年毎年、冬に素足で過ごす馬鹿野郎な。
末端冷え性のくせに、学習しなさすぎだ。
アイツは昔から成長してない。ガキのままだ。
だが
担いだその体は細くて、女性らしい体つき。
考えても見たらいつのまにか身長の差は広がるばかりだし、見上げるその顔は少女から大人になっていた。
不満げなの顔を睨みつける。
(…不満なのはこっちだ。馬鹿野郎)