桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第24章 桜舞い散る君想ふ【宇髄天元】※
──天元へ
この手紙を読んでいるということは私はもう死んでいるということかな。
死ぬことは怖くない。いつだって私は天涯孤独だったから。
でも、一つだけ後悔していることがある。
あの日、天元に抱かれて私は凄く嬉しかったということをちゃんと伝えられなかったこと。
嫁にならないかと聞かれた時、とても複雑でした。何故なら私は天元のことを凄く凄く愛していたからです。
愛していたなら「何で嫁にならなかったのだ」と思うかもしれません。
雛鶴もまきをも須磨も大好きだけど、同時に尊敬もしているの。
私なら…愛している貴方を独り占めしたくなってしまうから。
だから嫁にはなれないと思った。
三人がいる時に誘うと何故断るのか貴方は不思議そうだったね。
簡単なことだよ。
嫉妬してしまうから。
あの三人も大好きだから嫉妬に駆られるのが嫌だった。
だから私は自分の気持ちに蓋をした。
あの日、抱かれたのは私の意志。抱かれたかったから。貴方に。
私と同じ気持ちでなくても、天元に抱かれたかったから。
抱いてくれてありがとう。
嬉しかった。
長生きしてね。三人と仲良くしてね。
もし、生まれ変わったら私も天元に愛されたいです。
あわよくば…来世では私一人だけを愛してくれますか?
──
輝利哉様に渡されたのは俺宛の遺書だった。
そこに記されていた言葉たちに涙が溢れ出てきた。
もっと話していれば──
いや、アイツはどんなに話してもきっと答えは出ていたのだろう。
きっとどれほど話しても関係性を変えることはしなかった。
アイツは願いを今世で叶える気なんてさらさら無かったのだ。
「……ああ、お前一人をド派手に愛してやるから待ってろよ。。」
無惨を倒したその日。
見上げてみれば晴れ渡る青空が広がっていた。
死力を尽くした鬼殺隊の仲間たちによって守られた未来はこれからもずっと続いていく。
晴れの日も
雨の日も
曇りの日も
空だけは平等だ。
だからこの空の下で来世に君と出会えることを心の底から願う。