桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第24章 桜舞い散る君想ふ【宇髄天元】※
ゆっくりとの髪から顔を離してみる。
すると目に入ってくるのは白くて儚い頸。
細い肩に広くもない背中にはいくつかの剣士としての勲章がある。
薄っすらと残るその傷に指を這わせてみるとビクンと肩を震わせて恐る恐るこちらを見上げたと視線が絡み合った。
まろび出る筈だった言葉を飲み込むと俺は吸い寄せられるようにぷるんとした唇に己のものを重ねていた。
それはもう自然に。
何の了承もなく。
に糾弾されれば、これは合意なき行為であり後ろ指を刺されるような状況。
それなのに目を見開いたの藍色の瞳は揺れてはいても拒否はして来ない。
(…良いのか?いや、良いわけねぇか。この状況で断っても裸で外に出るわけにもいかないから諦めてんのか?)
考えれば考えるほどに拒否権などないような状況でこの行為はお世辞にも許されるようなものではないのに…
(止められねぇ…)
甘い唇に吸い付くと貪るように口内に舌を差し入れた。
首だけ後ろを向いていたを体ごと抱き上げると自分の膝の上に乗せて、柔らかなそれに何度も何度も口付ける。
ちゅ、という音が二人の唇が合わさっていることを証明するが、どちらも止めることはしない。
俺の屹立は見る見るうちに熱く滾っていき、の体に沿うようにして主張していった。
俺には嫁が三人いる。
四人目の嫁になるか?と言った時、は断ってきた。
その時はそれで良いと思っていた。
単なる冗談。
が笑ってくれたらそれで良かった。
だけど、蓋を開けてみれば無表情で断ってきたに俺はずっと不満だったんだ。
単なる冗談だと思っていたのは嘘だ。
冗談じゃない。
俺はコイツを四人目の嫁にしたかったんだ。
──好きだったから。
それなのにの口から出るのはいつだって"私の代わりはいる"という俺のことなんて関心がないと言わんばかりの言葉。
不満だった。
お前の代わりなんていねぇよって分からせたかった。