桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第3章 ホワイトレディ【トラファルガー・ロー】※
それから1ヶ月後、日勤を終えて従業員出入口から出ると聞きなれた声で呼び止められた。
「おい、。」
「え、あ、…んえ?!せ、先生…!」
な、名前…覚えててくれたんだ…。
ちょっとだけ嬉しい。
久しぶりにちゃんと顔を見たので何だか照れてしまった。
「今から時間あるか。」
「え、ええ?あ、え、は、はい!」
「飲みに行くから付き合え。」
そう言うとそのまま前を向いて歩き出した。
キョロキョロと辺りを見渡しながら誰もいないことを確認すると、少し距離を開けて彼について行った。
この前あのお店に行った時、マスターが教えてくれた。
私がとんでもなく先生に彼氏と別れた愚痴を聞かせて、バーのお会計も全部彼がしてくれてタクシーも呼んでくれたことを教えてくれた。
そんなことをさせたのだから、次あのお店で会ったらお礼をしようと思っていた。
だが、連れてこられたのはそこのお店ではなく何だかお洒落なバルで個室に通された。
こんなところご馳走できるだろうか…?
まぁ、いざとなればカードがあるか。
「あ、あの…マスターから聞きました。あの日、本当にいろいろすみませんでした。」
「ああ…まぁ、確かに酔っ払いだったな。」
「す、すいません。今日は私がご馳走します!先日のお詫びです!!」
私の発言を華麗に無視すると赤ワインを飲む先生。
え、無視??
「…悪いがオレは自分の女に金を払わせるつもりはない。」
「で、でも…、それじゃ、私の気が済まないんですけど…。」
ん?
自分の女?
ジブンノオンナ?
は??
「え、あ、あの…あ、聞き間違い…か。」
「お前は忘れてるかもしれないが、あの日お前はオレの女になった。だから抱いた。」
あまりに衝撃的な事実にフリーズして、ゆっくりと言葉を噛み砕く。
「なのに逃げ帰るわ、病院でも目を合わさないわ、オレを避けまくるからさすがに傷ついたのだが?」
「ええ?!な、いや…!そ、それは…、せ、先生のが…人生の汚点だと、思ってるのではないかと思って…」
あまりの出来事に状況を飲み込めずにいたが先生がそんな風に思ってくれていたなんて、嬉しいと感じている自分がいた。