桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第24章 桜舞い散る君想ふ【宇髄天元】※
洞窟に入るとをその場に降ろしてやる。
地面に足がつくや否やこちらを向き、はぁ…とため息を吐くの顔は引き攣っていてどうにも穏やかではない。
「天元って…時々凄い強引よね。」
「あんだよ。文句あんのか?」
「あるに決まってるでしょ?抱える必要は絶対なかったわ。まぁ、もう良いけど。」
不満気な顔でこちらを見るだけど、ぶるっと震えると洞窟の中に視線を向けた。
「…そんなことより…寒いからもう少し中に行かない?天元の格好見てるだけでも寒いわ…。」
「まぁ、俺は言うほど寒くねぇけどな。」
「筋肉達磨と一緒にしないで。私はか弱い女の子なの。」
「誰が筋肉達磨だ、おい。」
普段は鬼神のような戦いぶりで鬼狩りをしている奴の台詞だろうか。
しかも、散々女扱いすると怒るくせにこう言う時だけ女をダシにして来るあたりがツッコミどころ満載だ。
今だって"か弱い女の子"の割にはズンズンと奥に進む様はどうにもこうにも男らしいとしか思えない。
少しばかり暗闇が怖いとか言ってくれれば可愛げがあると言うものだが…。
まぁ、夜に活動している俺らからすれば暗闇が怖いなんて言っていられないというところもあるのだから仕方ないかもしれない。
しかし、の後ろをついて行くこと数十秒。
潔くその歩みが止まった。
「……行き止まりだわ。なーんだ…。つまんないの。」
「お前…まさかとは思うけど、探検したかったのか…?」
「……別に。」
「いや、どうみてもそうだろ。若干意気消沈してんじゃねぇかよ。」
通りで怖がりもせずに顔を綻ばせて前を進むわけだ。
雨宿りも楽しめるような女で良かったと思いつつ、肩が抜けるの行動に笑いが込み上げた。
「くっ…ハハッ。かーわいい奴。残念だったなぁ。ちゃん。ほら、焚き火でもして温まろうぜ?」
「ば、バカにして…!!ほんの少しだけよ!途中から…!どこまで続くのかなぁって…!本当よ?!」
「はいはい。分かった分かった。分かったから枝集めろ。焚き火すっから。」
「何かその顔がムカつくーー!!」
苛々しながらも言われた通りに枝を集め出すだが、揶揄われたことが恥ずかしかったのか耳が赤くなっていた。