桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第24章 桜舞い散る君想ふ【宇髄天元】※
今回の任務はやけに山奥。
そこで鬼に殺される事件が何回もあり、更に討伐に向かった鬼殺隊士がことごとく帰ってこない。
そのため柱がいくことになったわけだが、行ってみれば十二鬼月の中でも格下の鬼。
正直言えばどちらかだけで来ても事足りただろう。
しかし、そんなことを言っても仕方ない。
上弦であれば一人で戦っていたら勝てるかどうか分からない。
結果論だがこれで良かったのだと言える。
「上弦じゃなくて残念だったね。」
「まぁな。だが、十二鬼月には代わりねぇよ。とりあえず被害状況を報告させるか。」
「私は生き残ってる剣士を探すわ。」
「おう、頼む。」
何日も前から行方不明になっている何十名もの鬼殺隊氏たち。
生き残ってる奴らは少ないだろう。
だが、少しでも多くの奴らが生き残っていてほしい。
生きてる奴が勝ちなんだ。
の後ろ姿を見送ると無残にも殺された剣士たちを事後処理部隊に運ばせる。手厚く葬るのは生き残った奴がしてやれる最後の責務と言って良い。
"今日は花冷え"
そう言うの言葉通り冷たい空気が吹き荒れる中、ふと空を見上げると月も星も分厚い雲に覆われて全く見えない。
「…こりゃ、一雨来るかもしれねぇな。」
春の嵐とはよく言ったもので、この時期に降る雨は容赦なく桜を散らせるので好きではない。
嫁達と花見にも行っていない。
今年こそも誘おうと思っていたがあんな調子じゃまた断られるだろう。
──四人目の嫁になればいいだろ?
そう言ったのはもう随分前のこと。
それ以来、アイツとその話題をしたことはないが、どちらかともなくその話題を避けているとも言える。
確かに少しの冗談もあったけど、いつものならば軽く笑って受け流してくれると言うのに。
何がそこまで地雷だったのか未だに分からずにいる。
考え事をしていると、随分時間が経ってしまっていたようでいつの間にかが戻って来ていた。
いつもの穏やかで儚げな笑顔を携えて。