桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第24章 桜舞い散る君想ふ【宇髄天元】※
「よぉ、迎えに来たぜ。」
「別に現地集合で良かったのに。」
「道中、何かあったら困るだろ?」
「誰も困らないって。私が居なくなればまた新しい柱が補充されるだけ。私の代わりなんていくらでもいる。」
これはの口癖だ。
自分の代わりはいくらでもいる。
誰も困らない。
確かにそれは間違っていないだろう。
俺だって死ねばまた新しい音柱が補充されるはず。
鬼舞辻無惨を倒はない限り、鬼殺隊は日々変わっていく。
それは世の常でもある。
だけど、俺はがそう言うことに少し不満を感じていた。
「だーかーら。ンなこと言うなって。死なれたくないから迎えに来たんだろ。ほら、行くぞ。」
そう言っての手を強引に繋ぐと割に合わない歩幅で問答無用で走り出す。
しかし、最初こそ引き摺られ気味だっただけど、次第にその速さと歩幅に慣れて来たようで俺の隣にピッタリ付いてくる。
やはり流石は柱になるだけのことはある。
身体能力は高いし、体力もバッチリ。
喧嘩すれば相打ちになるだろう。
それくらい実力はある。まぁ、と戦ったりはしねぇけど。
「キツくねぇ?」
「平気。でも…」
「あ?」
「そろそろ手離してよ。引っ張られなくても走れるわ。」
「…あ、そぉ。」
名残惜しく離したその手。
自分の手のひらにはのぬくもりが急になくなったことで冷たい空気が突き刺すようだ。
「今日は花冷えね。せっかくの桜が元気なさそう。」
「寒ぃんなら手繋いでやってもいいけど?」
「結構よ。だったらその隊服貸してくれる?」
「お前なぁ?!俺が素っ裸になんだろ?!」
夏でも冬でも袖のない隊服を身につける俺を揶揄するように此方を見てニヤリと笑った。
ここ最近、少し溝を感じていた距離もやはり二人でいれば感じない。
「天元を見てるだけで寒いよ。鬼狩りしたら帰って早くお風呂に入りたいわ。」
「へーへー…ンならとっとと済ませるぞ。」
「ええ。速度を上げましょう。」
俺たちは顔を見合わせて頷くと速度を上げて目的地へと急いだ。