桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第24章 桜舞い散る君想ふ【宇髄天元】※
「…まぁ、いいわ。ったくよぉ、この俺様が奢ってやろうってのによぉ。」
「でも、さんっていつ見ても素敵〜!!美人だし、カッコいい〜!!私ももっとお話したいです〜!!」
須磨がそう言って俺にねだって来たもののどうにもならない。
俺とて街で見かければ毎回声をかけている。
だが、俺一人の時は誘いに乗ってきてもコイツらが居ればものの数分で『はい、さよなら』だ。
もちろんそうでない時もある。
蝶屋敷やらで会った時は嫁達とも談笑している姿を見たことがあるし、要するに外で俺が嫁を連れているときだけ矢継ぎ早に断ってくるのだ。
(…解せんな。マジで。)
理由はわからないが、とにかく腑に落ちない。
仲が良い柱仲間だと思っていたからこそ余計に、だ。
一度、腹を割って話してみたいと思っていたが、どうにも俺たち柱は忙しい。
約束を取り付けることなど難しいし、何はともあれ鬼狩りが優先だ。
「まぁ、いつか、な。」
「天元様ぁ〜!屋敷に招待してくださいよ〜!そしたらゆっくりお話できますよぉ〜!」
「それは良いわ!私もゆっくりお話してみたかったんです!」
「そうと決まれば!ちゃんと好きな食べ物とか聞いておいてくださいね?天元様!」
やけに乗り気な三人の嫁達だが、どうも断られる気しかしない。
「あー…おー、まぁ、聞いてみるけどよ…。さ、行こうぜ。餡蜜無くなっちまうぜ。」
「ああああ!!そんなの駄目ですーー!限定の餡蜜食べたいんです!!」
三人の背中を押して、甘味処に向かうが頭の中はどうやってを誘うかと言うことで頭がいっぱいだった。
嫁の頼みとなれば何としてでも、招待したいところだが如何せんアイツは取り付く島がないから困っているのだ。
(…まさか、男がいる、とか?)
男の陰はないと思っていたが、まさか想い人でもいるのだろうか。
それならば俺の誘いに…。
いや、それならば逆に嫁達がいる時だけ誘いに乗るだろう。
益々わけがわからない。
ちっとも答えに行き着くことができないまま、俺は餡蜜を食べる羽目になったせいで味はほとんど分からなかった。