桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第22章 地球で一番優しいあなた【宇髄天元】
仕事が忙しくてなかなか会えていなかったが、一週間ぶりに声が聴きたくなって恋人のに電話をしてみた。
心地良い声が聴こえてくるかと思いきや、いつもより低めの声で間伸びしたように話す彼女にすぐに不思議に思ったが、この暑さだからダレるのも仕方ないと納得していた。
しかし、あれよあれよと話される内容に只事じゃ無いと貴重品だけ持って車のキーを携えて車に飛び乗った。
急に暑くなって夏が本格的になったとは思っていたが、とは一週間前に会っていたし、電話は久しぶりでも毎日LINEはしていたのだから様子が変だなんて感じなかった。
もっと早く気づいてやればよかったと暑さとは別の冷や汗が背中を伝う。
の家までは車で15分ほど。
信号待ちすら気が立って仕方ない。早く早くと待ち侘びて青になった瞬間、アクセルは全開で捕まる寸前のスピードで滑走した。
マンションの最寄りのパーキングに停めるとさらに全力疾走で向かったのに、合鍵で入ったの部屋の室温に顔を顰めた。
「あっつ…。」
エアコンが効いてないとここまで暑いのか。
文明の利器と言うのは有難いものだ。
廊下を小走りで抜けてリビングに向かうドアを開けるとクッションを持ったままソファで項垂れているを見つけてすぐさま声をかけた。
「おい!!!しっかりしろ!大丈夫か?」
全身汗だくなのに顔は青白くて眉間に皺を寄せる。呼びかけたことで眉を顰めるがまだ起きない彼女をもう一度呼びかけ、今度は肩を揺らす。