桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第21章 君越しのチョコミント【宇髄天元】
この暑さにアイスは打ってつけだ。
隣で腕まくりして筋肉を惜しげもなく晒している天元の腕を掴むと「アイス買って!」と問答無用に自動販売機まで連れて行った。
「あー…確かにアイスはいいな。この暑さにゃ最高だ。」
「でしょ?でしょでしょ?!私、チョコミント!!」
「あんな歯磨き粉みたいなやつよく食えんな。こういう熱い日はシャーベット系に限るんだわ。」
チョコミントの悪口を言いながらも、財布からお金を出すと自動販売機に入れてくれる天元の腕に掴まると、お目当てのチョコミントのボタンが赤く点灯したところを秒で押した。
「馬鹿ね。天元ったら。このチョコミントの良さが分からないってことは人生の90%損してるんだよ?」
「おい、其処までかよ。それじゃ、俺の人生お先真っ暗じゃねぇか。」
笑いながらも自分の分のアイスを買うと一緒に包みを剥がしていく。
この暑さだ。
いくらカチコチに凍っていてもすぐに溶け始めてしまうので、剥ぎ取った包みをゴミ箱に捨てるとすぐに齧り付いた。
まだ少し硬いけど、チョコミント独特の清涼感が口内を冷やしてくれるので、二日酔いの気持ち悪さも頭痛も治まって行くようだった。
「はぁー、生き返る〜…。チョコミント最高。大丈夫。私が天元の分まで幸せ味わっておくから。」
「へーへー。」
「チョコミントを馬鹿にするとチョコミン党にボコられるからね!」
「何だよ、チョコミン党って…。」
チョコミントは好き嫌いが分かれる味だとは思うが、私は大好き。アイスといえばチョコミントが真っ先に頭に思い浮かぶほど。
顔をくしゃっとさせて笑う天元に私も笑顔を向ければ、急に手を引かれて彼の顔が目の前にあった。しかも、舌まで差し込んできて私のそれと絡ませられると目を閉じた方が良いのか迷ってきた。