桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第21章 君越しのチョコミント【宇髄天元】
「あっちぃな〜…。」
「本当に。溶けるわ。何この暑さ。5月よ、まだ。ふざけてんの…!?」
「お前が二日酔いだから日向ぼっこするって言ったんだぞ。」
今日は土曜日。
土日はお互い休みの仕事についていれば、必然と金曜日はいつものバーで一緒に飲み明かし、どちらかの家で雪崩れ込むように肌を重ねて朝を迎えるのは最近のルーティンになりつつある。
本当ならば、今日は買い物に行って夏用のワンピースを買ってもらおうと意気込んでいたのに朝起きた時の体のだるさときたら…。
簡単に予定を変更してしまう自分の切り替えの早さは褒めてほしいところだが、「じゃあどうすんの?」と聞かれて安易に「日向ぼっこ」と答えたのはお昼間近のこと。
二日酔いで昼ごはんも作る気にならないので、とりあえずコンビニに昼ごはんの調達をしがてら日向ぼっこをしようと思ったのはついさっき。
「どうせなら外で食べよう!」と意気揚々と公園に来たのだが、照りつける日差しは二日酔いにはつらい。
「日向ぼっこがこんなにしんどいなんて思わなかったわ。」
「二日酔いだからだろ。飲み過ぎなんだわ。馬鹿みたいにハイボールばっかり。」
「天元がいる時しかリベットのハイボール頼めないんだもん!!」
「俺にたかってるだけじゃねぇかよ!」
隣にいる天元と付き合い始めて三ヶ月ほど。
──ではあるが所謂前世の記憶を取り戻してからと言うもの私の中に彼に対する遠慮はない。
気心知れた仲だし、自分の良いところも悪いところも知り尽くしている彼に対して取り繕うことなど何もないからだ。
前世でもよく天元にたかっていたような気もするがそれは今は置いておこう。
自分よりも遥かに稼ぎがある天元に甘えて何が悪い!そんな自分を受け入れてくれると分かっているから出来るのだ。
しかしながら、この暑さは本当に堪える。
真夏でもないのに日差しは容赦なく照り付けるので前世で罪のない人々を死に追いやった鬼を此処に連れてきて焼き殺してやりたいくらいだ。
そんなことは出来やしないが、ふと視線を外してみると光り輝いて見えるのは街中によくあるアイスの自動販売機だ。