桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第20章 Reincarnation【宇髄天元】
「…?思い…出したのか?」
でも、宇髄さんの顔が見る見るうちに嬉しそうに破顔したことで前世やら来世やら…そんなありもしないと思っていたことが本当に起こっているのかもしれないと思わざるを得なかった。
「ご、ごめんなさい。思い出したわけじゃない、んだけど…。夢で…変な服着て変な化粧した宇髄さんが…」
「変とか言うな!派手でイカしてるだろ?!」
「え?!絶対ない方がイケメンだよ!今の方がいいよ!」
いやいや、この反応…。夢の中の彼は私しか知らない筈なのに、この人は知っているような口振りだ。
いよいよ信じないといけない気がしてきて私は目の前の彼に向き合った。
「…嫁が三人いたのは大昔って言ったろ。今はいない。ずっと…お前を探してたからな。来世はお前と結婚するって約束した。」
昨日はあれほど変な人だと思っていたのに、今は少しもそんな風に思わない。
むしろこれほどのイケメンが私を探し続けてくれていたなんて嬉しいと思わない人がいたら見てみたいほど。
「…まだ、あんまり思い出せてないの。宇髄さんのこと…。」
「それでもいい。昨日はいきなり付き合ってくれなんて言って悪かった。友達…は派手に嫌だけど…。お前が望むなら…そこからでも、良い。」
友達関係がよほど嫌なのか口を尖らせてそっぽを向いてしまった宇髄さんはとても子どもっぽくて笑えてきてしまった。
でも、そんな彼も何だか懐かしいと感じてしまうのは性格も変わっていない証拠だろう。
「…それでも良いから。今度こそのことを守らせてほしい。もう一人で死なせやしない。俺が守るから。」
宇髄さんの口振りからすると私は彼より先に死んでしまったのだろう。"運命"なんて言葉を信じたことはない。"輪廻転生"も信じたことはない。
それでも真っ直ぐに私を見る彼に少しの違和感も感じさせない。