桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第20章 Reincarnation【宇髄天元】
「…守ってくれたじゃない。ありがとう。」
「あんなモン守ったうちに入らねぇよ。今度は触らせる前に守ってやる。ついでにそのクソ上司もぶん殴る。」
「うん。それはやめて。」
「はぁ?!何でだよ!俺の女…じゃねぇ、ト、トモダチのケツ触るなんざ、万死に値するわ!」
むず痒そうに紡ぐ"友達"と言う言葉に笑いが込み上げる。
ああ…何て心地がいいのだろうか。
彼との時間がまるで昔から一緒にいたかのよう。
怒り狂っている彼を何とか宥めて病院を出ると外は綺麗な青空が広がっていた。
会社には遅刻したけど、昨日までの鬱々とした気持ちがまるでこの空のように晴れやかに変貌を遂げた。
私は隣にいる宇髄さんの手を自ら繋ぐと、背の高い彼を見上げてみる。
「…ねぇ、天元。今日は慰めじゃなくてお祝いにグレンリベットのハイボール奢って?」
「二日酔いがよく言うぜ。ま、いいけどよ。……って!?いま、な、名前読んだ?!呼んだよな?!俺のこと!」
「ふふ。内緒。今日はありがとう!またね、天元!」
私は逃げるようにその場を後にした。
昨日と同じく彼は追いかけてこなかったけど、きっとあそこに行けばまた会える。
バー【Reincarnation】で──
そして私たちが約束通り付き合い出したのはそれから暫く経った頃。
100年の時を経て、新たな愛を紡いでいく。
そんな私たちの愛の物語。
Reincarnation【輪廻転生】