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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第20章 Reincarnation【宇髄天元】





「…流石に初めて会ったのに"付き合わねぇ?"はないわな。」

「宇髄様はもっと外堀を埋めてから確実に落とすタイプかと思いました。随分と性急ですね。アレではさんも驚きますよ。」


独り言のようにポツリと呟いた言葉にマスターがアドバイスをくれるが、ぐうの音も出ないほど真っ当な意見で肩を竦ませた。


「…早くしねぇと他の野郎に取られるだろうが。」


「でも、きっとさん暫く来ませんよ。」


「…だわなぁ…。」



折角、煉獄に協力してもらったと言うのに何てザマだ。少し焦りすぎたな。
逃げるように帰ったを追いかけることもできたけど、嫌われたら元も子もない。
必死に我慢した俺は煽るようにハイボールを飲み干すと会計をした。



暫く会えないだろうと思っていたのに俺は神に愛されているらしい。
再びに会ったのは翌日のことだった。出勤するために最寄駅から電車に乗り込むと痴漢だと疑われないために手を上に上げて手すりを掴む。

こういう満員電車は意図してなくとも手が当たったりして痴漢を疑われることがあるらしい。デカい俺がそんなことをするのは普通に無理なのだが、念のために毎回こうしている。


いつもはワイヤレスイヤホンを耳に入れてお気に入りの洋楽を聴くのが電車でのルーティン。
だが、どういうわけか隣のドアに視線を向けた。
本当に偶然だった。
しかし、視線を向けた先にいたのは下を向いている。
同じ電車になったことはない。
あのバーに来るくらいだから路線は一緒かもしれないとは思っていたが、こんな偶然は初めてのこと。

何ヶ月もあのバーに通い詰めていたのに、昨日やっと話しかけて、今日たまたま電車で見かけるなんて…。
天が味方してくれているとしか考えられない。


満員電車の中は少し移動するのも一苦労だ。
それでも俺は少しずつジリジリと距離を詰めていく。
の姿がどんどん近づいてくるにつれてドキドキと心臓が煩いが、彼女の様子がおかしいことにも気付く。
顔は真っ赤に染まっていて、下を向いたまま唇を噛み締めている。






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