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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第20章 Reincarnation【宇髄天元】





三人も嫁がいて、もう一人増やそうだなんて口が裂けても言えなかった。
でも、それはも同じだった。
それが分かってももう相手はこの世にいないなんてどれほど虚しいことか。


鬼殺隊の仲間は何人も死んだ。
痣が現れた者は若くして戦いの後に死んだ。

残された俺には大事な嫁が三人いて、人生を全うした。それが俺の責任だと思ったからだ。

だが、のことは死ぬまで片時もわすれたことはない。彼女が死ぬ時に来世は俺と添い遂げられるようにと願ったように、俺も死を感じたその瞬間同じことを思った。

来世はと共に人生を全うしようと。


だから再びこの世に生を受けた時、前世の記憶があったことには驚いた。
きっとも俺を探してくれている。
出会わなければ…と思ってずっと探し続けていた。


それなのにやっと見つけたと思った彼女は前世の記憶がなかったのだ。

同じように前世の記憶がある状態でたまたま出会った煉獄と夜に飲みに来た時に、バーでと会った。
その姿を見た時に嬉しくて嬉しくてたまらなかった。何度夢に見たことか。
再び出会うことを。

しかし、茫然と目を見開き立ち往生している俺に彼女は目もくれずに通り過ぎた時、気付いてしまった。
記憶がないことに。


何度も同じバーに通い詰めて近くにいても全く見向きもされない状況が何ヶ月も続いた。
カウンターしかない小さなバーだ。
否が応でも会話の内容は筒抜けで、が上司からのセクハラを受けていて、最近彼氏にフラれたことを知れば、もう止まらなかった。

煉獄を先に帰すと初めてに声をかけた。マジマジと顔を見ればやはりその姿は昔のそのもので、最期の変わり果てた姿が目に浮かび少しだけ唇を噛み締めた。

"大昔の話"と言って前世の話をしたところで、いまのからしたらただの怪しい男だ。
前世の記憶がある方が稀のこと。

せっかく話すきっかけを作ったと言うのに、気味悪がっては帰ってしまった。



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