桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第20章 Reincarnation【宇髄天元】
「ちょ、ま、マスター!う、薄めで!ちょっとだけ!あとはいつものやっすーいやつ!」
「あのな、女に払わせるわけねぇだろ?俺の奢り。リベットね。宜しく。」
「…お、奢り…?え?私、理性ありますので連れ込もうとしても無駄ですよ?」
「おいおい、辛辣だな。ンなことはしねぇって。名前は?俺は宇髄天元。相方帰っちまったからよ、一緒に飲もうぜ?」
そう言ってニカッと笑う宇髄さんに柄にもなくドキンと胸が跳ねた。
ドキン?ドキンって…。ちょっと…ないないない。某パンのヒーローアニメに出てくる可愛いバイキンじゃあるまいし。
こんな初めて話した相手にそんなこと有り得ない。自分は兎に角惚れにくいことを自負しているのだから。
「です。宇髄さんって相方さんと仲良しですよね。」
「おい、気持ち悪ぃ言い方すんなよな。古い…友人っつーか、戦友だ。」
戦友?戦友ということは同じ職場で切磋琢磨した相手ということ?
詳しくはわからないながらに彼らが恋人関係では無いことだけは分かって、少しだけ盛り上がったあの時間が馬鹿みたいに感じた。
「そうなんですね。失礼しました。そっち系の人だと。」
「ンなわけあるか!俺は女が好きだ!」
「確かに彼女が三人位はいそうです。」
見れば見るほど、イケメンな彼に眼福だなぁと思う。女の人なんて引く手数多にいそうだし、女には困らなさそうだ。
「あー…大昔はいたな。嫁が三人。」
「え?三回結婚してたんですか?!ああ…なるほど…。」
「おい!ちげぇわ!今じゃねぇ!大昔だ!大昔!」
大昔であろうと今であろうと離婚歴があるのは変わらないのに何故そんなに否定するのか理解ができない。
この人やばい人なのだろうか?と思いかけた瞬間、リベットのハイボールが到着して、宇髄さんがグラスを掲げたので、仕方なく私もそれを持ち掲げる。
「との再会に乾杯。」
「あ、はい。乾杯。」
ん?再会?
え、いつ会ったのだろうか?其処は"出会いに"と言うところではないか?
それなのに彼は迷うことなく"再会"と言った。