桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第19章 日傘の贈り物【宇髄天元】※完結しました。10/19
「…あんだよ。別にお前が振り向くまで俺は待つけど…?」
「そうじゃなくて…!待つ必要はないです…!」
「は?何で?俺、諦めねぇよ?」
「ち、ちが!そうじゃなくて…」
「お前が好きだ。避けられてるって分かってるけどよ。好きな気持ちは止められねぇから。」
「わーーーたしも!好きです!!!!」
「………へ?」
あまりに宇髄さんが真剣に愛の告白を繰り返してくれるのは嬉しいが、取り付く島がない状況に見兼ねて感動の告白になるところが言葉をぶん投げる羽目になってしまった。
(…こんな筈じゃなかったのに…)
季節外れの夏日も合わさって体中から汗が噴き出してくる。
恥ずかしくてもちゃんと伝えないと伝わらない。
誤解させたのは私なのだ。
「…さ、避けてたのは…!宇髄さんみたいに格好いい人が私なんかに本気になるわけないって思ったからで…」
「………」
「本当は…ずっと、好き…でした。いや、えと、今も…好きです。なので…」
「………」
「よ、よろしく、お願い…申し上げます。」
肝心なところで恥ずかしくて日傘を深く差して身を縮めてしまったけど、それでもちゃんと想いは伝えることができた。
ホッとしたのも束の間、手に持っていた日傘を取り上げられたことで視界が急にクリーンになる。
突然開けた視界に驚く間も無く、降って来たのは宇髄さんの綺麗な顔。
続けて唇に感じたのは今日はお酒の匂いのしない柔らかい唇だった。
久しぶりの感覚。
でも、待ち望んだことでもあった。
背の高い彼の首に手を回すことは叶わないけど、申し訳程度に腰に手を回してみると彼の香水の匂いが間近に感じられる。